9/22(祝火)隠語と小道具
2020年9月22日 Posted in 中野note
↑2014年に再演した『木馬の鼻』より。
白状しておきますが、下ネタが大好きです。
特に隠語に暗喩に包まれたせりふやト書きを発見するたび、
「またまた〜、唐さんも好きですね〜」とひとりごちながら、
早朝に台本を読んだりしています。
例えば、私が唯一、唐さんに書き下ろしてもらった『木馬の鼻』。
初めて原稿を手渡された時、
唐さんを前に緊張しながら目を通す私の眼前に、
大好物の設定が飛び込んできました。
主人公は「谷也(たにや)」という引きこもりがちの青年。
帰宅するなりタンスの中に閉じこもるという設定の彼は、
当然ながら異性との付き合いなど未経験に違いない。
そんな彼に大問題が起こる。
デパートの屋上遊園地の清掃係たる彼は、
木馬の鼻に引っかかった鳥のフンを吹き忘れて帰宅し、
それをネタに、上司たちからの執拗なイジメに遭うのです。
問題はこの「木馬の鼻面にベットリと付着した白い鳥のフン」
というくだり。何をか言わんや。
谷也のウブさとこの設定を重ね合わせる時、出てくる答えはただ一つ。
唐さんの前で目を通していた当時の私は、
ここの部分にきた時やっと少しの余裕を取り戻し、
机を挟んでこちらを見守っている唐さんに「なかなかの設定ですね」
とお伝えすることができました。
すると、唐さんもニヤリ。
こんなことを思い出したのは、
先日の『ジョン・シルバー』ワークショップの折に、
似たような箇所に踏み込んで大いに盛り上がったからです。
双子の姉妹は、ついに恋愛を知らぬままに背むしになってしまった女。
彼女らは悶々と続く会話の果てについに開き直り、
「♪あたいちゃすべた あたいたちゃあさり」
という、楽しくも下品極まりない歌をうたいます。
するとそこへ、「シルバー」という想い人を持つヒロイン・小春が
やってくる。二人は強烈な羨望と嫉妬にかられ、小春が大事に持つ、
ヴァイオリンケースを奪い取り、その中に入っていた義足を、
「握ったり」「しゃぶったり」します。
ちなみに、このヴァイオリンケースが開いた瞬間の絵面が何を意味するか、
唐ゼミ☆初演時に21歳だった私に教えてくれたのは、室井先生でした。
かように台本が読めてくると、勢い小道具づくりにも精が出ます。
「そのヴァイオリンケースの内張りの布、もうちょっと赤黒い方がいいな」
「ヒダをもっと寄せた方が良いですかね?」
「いや、少し寄せるのは良いが、やり過ぎてはあまりにも・・・」
こんな会話を繰り広げながら、一所懸命、細部と向き合っています!
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