9/1(火)よみがえる宿題

2020年9月 1日 Posted in 中野note
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面白い看板を見つけました。
荻窪近くの中央線に沿った道から見えるビルに、
それは付いており、目立っていました。

「チャイルド社」という社名もなかなかですが、
フォントのデザインもひときわ味わい深く、思わず写真に収めました。

「チャイルド社」と聴いて思い出すのは、
2006年の秋に上演して新潟・京都にも回った『ユニコン物語』に
登場する悪徳企業「ネンネコ社」です。

社員全員がその名の通りネンネコを背負っているこの会社、
一見するといずれの従業員もにこやかで優しげですが、
その実、さまざまな病院から胎盤をさらって商いにしているという
筋金入りのワルモノたちです。
まあ、儲けの効率が極めて悪そうなのが唐さん流のご愛嬌ですが、
とにかくひどいヤツらの集まりに違いない。

嬰児として取り替えられた男女の主人公ふたりを描くこの物語、
2006年当時の自分では上手く演劇化できなかったという、
挫折感が残る演目なのですが、一方で、唐さんが私たちのために、
初めて一部を改訂してくださった記念すべき台本でもありました。

1978年に上演された初演時の正式なタイトルは
『ユニコン物語 台東区篇』というのですが、
私たちには『ユニコン物語 溶ける角篇』という副題を
付けて下さいました。

唐さんご自身としては、初演時に劇中で取り上げた血液型の話題が
正確では無かったので書き換えたかったそうなのですが、
それだけでなく、2005年に封切られた映画版『ナルニア国物語』も
引用されて、私たち用の改訂版が出来上がったのです。

「チャイルド社」の看板を眺めながら、
2006年に歯が立たなかったことが思い出され、
いまだ唐さんの労に報いることができていない申し訳なさが
頭をもたげました。完全に宿題です。
このまま自分がしっかりしなければ『溶ける角篇』の存在自体が
無かったことになってしまう。そう感じています。

現在の全身全霊を以って
これは何とかしなければならないという思いに駆られています。

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