11/1(水)21年後の新たな『糸女郎』
2023年11月 1日 Posted in 中野note
↑終演後、唐組の皆さんの撮影にちゃっかり混ぜてもらいました
(撮影:平早勉)
前の予定から会場時間を過ぎてやっと紅テントに到着し、
そこにいた美仁音さんに「今回の役は何?」と訊いたら、
「美女丸です」と応えました。
美女丸。乳母川美女丸といって『糸女郎』の敵役です。
もちろんこの役は男性の役なので、当意即妙に冗談を飛ばす
彼女をおもしろく思いながらテントに入りました。
劇が始まると、トイレの中でお腹を露わにする美仁音がいて、
やっぱり美女丸ではなくヒロインなのだと理解しました。
この日のヒロイン・湖村蚕(こむら かいこ)は、
天竜川の崩壊により破壊された養蚕・製糸業の悲劇を
丁寧に、丁寧に伝えていました。
特異なキャラクターが多く登場し、
登場人物たちの魅力で笑っているうちに撹乱されてしまいそうに
なるところを、あの部分が、この『糸女郎』とはどんな物語で
あるのかを伝えてくれます。
主人公の大切な役割を果たしている。
この日は唐さんが来ていたので力が入り過ぎているところも
あったけれど、それも含めて、"背負っている者"の演技だと
受け取りました。
一方、初演でヒロイン・デビューした藤井由紀さんは、
久保井さんが演じたチャン(レディ・チャンドラーのこと)の
元愛人を演じて、笑わせてくれました。
特に、悪役アザミノが藤井さんの右脇にはえた剛毛を
掻き分けてサメの刺青を求めるくだりは、エロス過ぎて
エロス以上の何ものかに到達してしまっており、
唐さんくらいに妄想大爆発でエロいと、
もはや世間でいうセクハラを乗り越えてしまうのだなあ
と感心しました。電車のレールを見ても欲情するのですから。
言いたいことは尽きませんが、とにかく、
自分が大学4年の時に唐さんが初演した芝居がどんなだったか、
その物語も、その面白さも、改めて教えてくれた上演でした。
今週末までやっています!
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