8/11(木)ロンドンへの帰路

2022年8月11日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note

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↑一本目に観た子どもたちのための劇。素朴な感じの二人だったが、

主役の老人人形がフルに活きるよう計算し尽くされた造形だった。


最終日、エジンバラ三日目は二つの作品を観た。


1本目:A VERY OLD MAN with ENORMAOUS WINGS

シルヴプレさんが観たという人形劇を観ようと思っていたが、

道すがら、チラシ配りの女子が渡してくれたフライヤーを見て

ピント来た。開演は10分後だったが、急いで駆けつけて観劇。

しっかり者の女性とトボけた男性のコンビによる、

人形や映像、サンプラーを駆使したキッズプロだった。

と言ってもギミックではなく、マンパワーを主体として、

お客さんの想像力に訴える。ボケてニワトリ小屋に住む

老人に周囲のみんなが困惑するのだけれど、最後にはこの

おじいさんが天に召される。

最小限の規模に考え抜かれた美術の造形ひとつひとつが見事で

さりげない恰好のパフォーマーが周囲を活かしきる姿を

観ている側がどんどん好きになる公演だった。


2本目:BURN(詩人ロバート・バーンズのこと)

スコットランドの国民詩人にまつわる一人芝居を

同じく地元の名優アラン・カミングが演じるという趣向。

しかし、演出家がイフェクトを多用しすぎて、肝心のアランの

魅力が立ち上がってこない。観客は皆、くだんの個性派俳優を

観たくてきているというのに、もったいなかった。

実に嘆かわしい。最後に、緞帳の前に出たアランがカマチに

腰掛け、観客に語りかけるシーンがほんの少しだけあって、

初めからそれをやれよ!と思った。

ライティングとプロジェクションを組み合わせて、

彼の顔がよく見えない。重要なところで、

あまり上手いとはいえないダンスを見せられた。

体は鍛えられているが、そういうことではないと思った。


一本目と二本目の間に、韓国料理を食べようと思った。

学割の効く良さげな店を、昨日のうちに発見していたのだ。

が、開店までに時間があったので、木陰で寝そべってラジオを

聴いた。立ち上がると、近くのカフェからこちらを呼ぶ声がする。

ピーターとフィルハーモニア管最古参の女性奏者だった。

エレナーさんという方。日本に20回以上きたことがあるという。


席を勧められたのでコーヒーをご馳走になり、

かつてのボスであるジュゼッペ・シノーポリの話を聴いた。

昨日『ルサルカ』を観たのでオペラの話になり、歌舞伎について

訊かれたので、現在の市川猿翁が演出して、吉井澄雄さんが

ライティングした『影のない女』の話をして盛り上がった。


ロンドンに帰ったら、リハーサルを観にきなよ、と言われた。

北仲スクールをやっていた2010年にフィルハーモニアと

サロネンによる『中国の不思議な役人』を聴いてクラシックに

興味を持った。これもピーターのおかげだ。


ピーターが主宰するチェンバー・アンサンブル・オブ・ロンドンは

11月にプリマスで公演するということだ。

プリマス〜コーンウォール〜ミナックシアターの旅を

ここに入れようかと思っている。


エジンバラにはまた来週行く。


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