5/22(土)『ビニールの城』2題

2021年5月22日 Posted in 中野note
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↑よく見ると、たしかにツンツンつついています。

何が辛いと言って、まだ紅テントに行けていないのです。
これは辛い! 以前なら考えられないことなのです。

ここ数年はいろいろと立て込んでしまい、
必ずしも初日に駆けつけられるとは限らなくなりました。

これも私の年齢のせいか。仕事や用事がやたらに多い。
悔しいのは、会うひと会うひとに「唐組みてきたよ!」と
言われることです。チクショウ!

今日もすわ駆けつけてやる!と思っていたのに、
結局、次から次へと湧き出る予定、とその遅延によって
新宿行きを断念せざるを得ませんでした。
当然、明日も狙っていきます。
朝の予定、昼過ぎの予定が順調にクリアできることを願うばかり。

妄想ばかりが膨らむので自分勝手な前夜祭として
書かせてもらいますが、今回の『ビニールの城』、
とっても良いと思います。

だって、私たちはここしばらく、パーテーションばっかりに
囲まれて生きているではないですか。
他人との距離感にひどく敏感になっているではないですか。

唐組としては数年ぶりの再演にあたる今回の演目ですが、
今年の春公演が『ビニールの城』だと聞いた時、
あ、いいな!と思いました。世界中がビニールの内側に
引きこもり状態ですから、切実な上演になる。そう確信しました。

マメ知識を二つ。
唐さんはこの台本を、ジャック・デリダの『染筆とエクリチュール』に
触発されて書いたのだそうです。難解のイメージが強いデリダですが、
要するに、膜を先の尖ったものでツンツンすることについて書いた本です。
さすが唐さん!

もう一つ。
この芝居の初演を行ったのは言わずもがな、
石橋蓮司さんや緑魔子さんが主演の劇団第七病棟ですが、
そのエンディング、ヒロインが水の底から引き上げられた
ビニールの城に閉じ込められていく場面でかかった曲は、
ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』の前奏曲でした。

聞くところによれば、その曲はたまたまラジオで流れた音源を
エアチェックしたものを使用したそうなのですが、
その演奏は数多ある同曲の演奏とは一線を画するそうなのです。
何か、他の録音には入っていない音が入っており(奏者のミスなのか?)、
それが舞台でのスペクタクルな仕掛けのキッカケをとるに
もってこいのハマり具合だったそうなのです。

その話を初めて第七病棟の方から伺った時、
私にはピンとこなかったのですが、あれから約10年経ち、
同曲のさまざまな録音を聴きまくってきた自分としては、
誰の指揮によるどこの楽団のいつの演奏なのか、
突きとめてみたい欲望にかられています。

・・・・。
こんなトリビアなネタを胸の中でグルグルさせながら、
紅テントに駆けつけようとしています。

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