5/5(木)グローブ座へ
2022年5月 5日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
↑カーテンコール。8人で上演できちゃうのだ。
ジャケットこそお気に入りのTK-MAXで買った薄手のものに変えたが、
インナーはまだヒートテックのまま。なのに、そう汗をかくわけでもない。
気になってダイアンに訊いてみたら、これは異常なのだそうだ。
例年の5月の気持ちよさといったら。それなのに今年は・・・
そう愚痴こぼしていた。
暖かくなるのを心待ちにしてきたのには理由がある。
グローブ座に行ってみたい。が、あそこは吹き抜けの青天井。
しかもシェイクスピアだから3時間弱を覚悟しなければならない。
こんなアウェイで体調崩したら面倒だ。そう思ってきたが、
今日は他に鑑賞の予定もないし、『ジュリアス・シーザー』は
超メジャー演目でもないから£5の立ち見席が空いていた。
語学学校を終え、Albanyで事務をして18:30。
Deptfordからグローブ座まで30分ほど。行くべし。
初めてグローブ座で劇を観ることができた。
たった8人の役者で全編を演じ切り、最後に素朴な踊りまであった。
衝撃的な大感動を呼ぶわけではないけれど、町中華で食べるラーメンの
ような安心の美味しさがあった。
今日は観客がまばらだったし徐々に寒さが増していく。
観光客が多いからか、休憩時間に帰ったお客もたくさんいた。
けれど、役者たちは熱演して、演出により、時には観客と絡んだりした。
『ジュリアス・シーザー』は革命青年たちがクーデターを起こす話だ。
そして大義を持ったはずの殺人のあと、彼らは追い込まれ、滅ぶ。
後方のベンチシートで観ていた中年男性が嗚咽するように泣いていた。
学生運動に挫折した経験でもあるのだろうか。
主役のブルータスは黒人の若い女性が演じていて眉毛が繋がっていた
このメイクに、役柄の一徹さが表れていた。相棒のキャシアスは白人女性。
衣裳はスーツやミリタリーを使った現代服でシンプル、そこに少しずつ
古風に見えるように工夫されていた。
太鼓やタンバリンなど打楽器を使った原始的な演奏が随所に見られ、
最後にはダンスがあって、盛り上がって終わった。
地面はコンクリートで、照明も電気だけれど、
吹き抜けによって見える空だけは400年前と変わらない。
テントや野外劇をやってきたから、雨の日の様子も含めて気になる。
それに、さまざまな演目を立て続けにやっているから、
『ジョン王』とか『ヘンリー8世』とか、珍しい演目を観られる。
オーセンティックな衣裳による上演も見てみたいし、また来よう。
全体に誠実な感じがした。観光客が観にくるわけだし、
グローブ座の様子を再現するというミッションもある。
しかしその枠組みの中で、純粋に芝居としても面白い上演のために
最善を尽くしている感じがしたのだ。ダレる日もあるだろう。
でも、空だけでなく、人間も大して変わっていない。
そういうことを実感させる良さがあった。
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