6/29(火)明日、WS『海の牙 黒髪海峡篇』が完結!

2021年6月28日 Posted in 中野note
_MG_1175.JPG

ここ3ヶ月取り組んできた唐ゼミ☆ワークショップ
『海の牙 黒髪海峡篇』が、明日で大団円を迎えようとしています。

今、思わず「大団円」と書きましたが、
この言葉がこれほど相応しい演目はありません。
それは、この劇のテーマが「完璧な円を目指すこと」にあるからです。

この劇には、アジア各地にまつわる様々な要素が入り乱れます。
『ドグラマグラ』の夢野久作の出身地である九州
海運交易の過程で名和氏が拠点の一つとした台湾
主人公・呉一郎にとって祖先の地である中国
一郎のライバルである名和四郎の出身地である朝鮮半島
ヒロイン・瀬良皿子→シェエラザード→『千夜一夜物語』の舞台である中東
などなど。

この劇の初演年は1973年ですから、
前年に進出した韓国、同年の春に行ったバングラデッシュ公演、
翌年に控えているパレスチナ遠征への視線が唐さんの中で絡み合い、
スパークしているのを感じます。

さらに、李さんが亡くなったことを伝える報道の中で
これまでは知らなかった事情がわかってきました。
当時の状況劇場が海外公演を重ねていく際に起こる
ビザ申請の中で、否応なく李さんの「国籍」「帰化」
という問題に直面していたそうです。

ですから、唐さんはほんとうに切実に、真剣に、
社会システムを取り巻く不条理に憤り、
国境や民族を超えた融和を模索していたのだと思います。
なぜ、私たちは同じ人間同士、仲良くできないかのか!

それが、端的に「完全な円」という言葉に集約されていると
自分は考えます。唐さん、若いな!熱いな!
思わずそういう風に感じてしまう。

そして、自分がこの作品を偏愛するのは、
普通だったら、そういうテーマを描く芝居は面映かったり、
役者にとっても言うに恥ずかしいせりふがあったりするものですが、
唐さんの場合は発想が突飛すぎてぜんぜんそういう気配がない!笑

気後れせず、恥ずかし気もなく社会正義を語れるのは
唐さんのおかげだと、心から思います。

明日の大団円に興味がある人は、ぜひ聴講してください!
http://karazemi.com/perform/cat24/post-18.html

次回からのワークショップは、曜日を日曜日に引っ越して、
同じ1973年に生まれた『ガラスの少尉』を特集します。



トラックバックURL:

コメントする

(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)