2/24(木)英語で怒られたことなど

2022年2月24日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
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↑この直後に怒られる。

一昨日から昨日にかけて起こったことを書こう。

2/22(火)
台本読みにさらに注力し始める。
『秘密の花園』は1982年に初演された戯曲だ。本多劇場にて。
それが1998年に唐組によって再演され、評判を呼んで99年にも上演された。
後者に大学入学が間に合い、自分はこれを観ることができた。

唐さんは唐組での再演にあたり、台本に手を入れた。
当時の唐組のチラシを見ると、ちゃんと改訂と書いてある。
初演版と改訂版、どこがどう違うのか調べつつ読んでいる。
ああ、日本語なら人並み以上に理解できるのに、とも思う。

慣れてきたので、学校にはギリギリ滑り込む。
エリザベス先生は授業巧者だ。それぞれの人間に興味を持っていて、
そういう彼女のスタンスが生徒の発言を活性化させる。
伝えたい内容がある時、人はその手段を必死に磨く気になる。

この日から加わった中国人の女の子も含めて、
色々な世界をそれぞれが生きてきたことを実感する。
最も饒舌なのは、サウジアラビアの青年たち。

彼らには兄弟が12人とか、20人とかいる。
お父さんには4人(許される最大数)の妻がいて、
最近、妹が生まれたばかりという20歳の青年がいる。
別の青年は、ハーバード大学に入り医者になると言う。
他にはいかにもお坊ちゃん風の質問魔の青年。
システムエンジニアとしてのキャリアアップを目指し、
英語の予習復習を欠かさない大柄の青年、などなど。
多くの兄弟に揉まれてきたのだろう。自己主張がシンプルだ。
家にラクダがいる人もいる。

片や、中国人の女の子は一人っ子。
重慶に生まれ育った後、シンガポールでアパレルの仕事をして、
ロンドンに来たのだという。今は日本料理店で働いているけれど、
イギリスで服飾の仕事がしたい一念で苦学しているようだ。

午後はAlbanyへ。

最近、劇場そばにあるインド料理屋が気になっていて、
この店が良いかどうか同僚に訊くために写真を撮った。
店や人の名前を一瞥して覚えるだけの頭が自分にはまだない。
そうしたら、店の前にいた青年3人が怒って叫んできた。
I don't allow you to take picture!

15mくらい離れていただろうか。
こちらは彼らを撮ってはいないのだが、確かに嫌な気がするだろう。
初めて英語で怒られたのでかなりビビり、かえってI'm sorry!
と異常にデカい声で返してしまった。

それがまたちょっと変な雰囲気を呼んだので、サッと劇場に入った。
Deptfordはなかなか荒くれた街だから用心しろと言われてきたが、
それにしても、昼飯を食べ損ねた。

が、これが功を奏する。
劇場に入ったところ、ちょうど催し物が始まるところ。
訊けば、0-2歳用のダンスプログラムに親御さんも含めて40人くらい
集まっている。飛び入りで観させてもらったら、これがすばらしく
感心しっぱなしだった。

が、ここにも間違いがあり、2階席で資料用にと撮影していたら、
舞台監督らしき青年に注意されてしまった。本番風景の撮影が厳禁な
ことはもちろん分かっているが、しかし、渡英してからこのかた、
その感覚がひどく麻痺していたのだ。内容も素晴らしかったし、
申し訳なく思ったので、終演後に改めて謝りに行き感謝を伝えたら、
かえって歓待してくれた。

ここにいる事情を話すと、彼はディレクターやプロデューサーに
繋いでくれた。結果的にたくさん話すことになった。
ちゃんとした映像や資料も送ってくれることになった。

その後はオフィスに戻り、方々にメールを打つ。
もちろん英語だし、システムに慣れていないので操作ミスが続き、
ひどく疲れる。一方で、リヴという女の子に系列劇場の見学を
お願いしていることをレミーというスタッフに話したら、
彼女がその場で先方にアポと取ってくれた。
大変ありがたいのだが、これはリヴと手配が重なる可能性がある。
レミーにはそのことを話して、さっそくリヴを探し回った。

果たして、やっとリヴを見つけて事情を話したら、
彼女は昨日に送った依頼メール自体をまだ読んではいなかった。
レミーにもリヴにも生真面目だと笑われたけど、こちらは新米だし、
慎重にならざるを得ない。お腹も空いているし、ヘトヘトになった。

気を取り直して、ルイシャム駅に向かう。
渡英後ひと月が経つので、ケータイ電話の更新方法について
訊きに行ったのだ。電話だと不安なので、直接が手っ取り早い。
自然と歩行距離が伸びる。店員さんがサクサク処理してくれたが、
2/28-3/1じゃないと手続きできないと言う。また来週と言って別れる。

ルイシャム駅に来るのは渡英直後に郵便局を訪ねて以来だが、
帰り途、イギリスでの初めての食事(ケバブ)を買ったあの店が
見えてきた。あの時は嬉しくて「また必ず来るよ」と言ってしまったが、
正直ケバブの肉はイマイチだった。目が合うと気まずいので、
あのナイスガイがポテトを揚げている隙にサッと通り過ぎた。
今日は色々なことがあってくたびれたので、絶対に近所の名店
ゴールデン・チッピーと決めていたのだ。

前回のcod(タラ)に引き続きrockというフィッシュ &チップスを
食べたが、やっぱりこの店は美味い。エリアNo.1と何人かが
絶賛するだけある。良いカサゴの唐揚げを食べている感じ。

食べたらすっかり元気になり、もう一つ何かしたい。
そこで、カティサーク近くのコメディ・クラブへ。

↓開演30分前。この後に全ての席が埋まっていった
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火曜なのでお客は少なめ、それでも恋人同士や家族づれが
合計50人くらい入っていて、一人なのは自分だけ。
と思ったら、開演間際に入ってきた一人のおじさんがいた。
よほど通な感じがする。8:00pmに開演して、清水宏さんの
やり方の原型を見ることができた。メインのコメディアンが
場内を煽り、熱を帯びてきたところで別の二人を紹介する。
ロシア情勢やジョンソン首相のことを話しているのは分かった。

あと、ロンドンの地下鉄のうち、どの路線沿線に住んでいるかを
お客に訊いていき、その回答に反応しながら、ドッカンドッカン
ウケていた。とにかく「ファック」「ファッキン」「イディオット」
のオンパレード。これまで一生かけて聴いてきた「ファック」の数を、
今晩だけで完全に凌ぐ量だった。

面白かったけど、英語を聴くのに消耗して前半で失礼した。
これはまた行きたい。長い1日だった。


2/23(水)
早朝から作業してお腹が空いたので、初めてカフェで朝食を食べた。
口開けらしく景色の良い席に通されたが、いつもより30分早く
動いたことで出勤・通学の風景を見ることができた。
皆、険しい顔でそれぞれの目的に急行していく。どこの国も一緒だ。

語学学校は遅刻が目立つ。週半ばになるとすぐにこうだ。
11:00にやっと来た青年は、昨晩遅くまで遊んで帰宅が深夜だったらしい。

オリジナルのコンテストを考える、
自分が英語を学んできたプロセスを説明する、
という課題にチームで取り組んだ。
今日が初めての42歳トルコ人男性がいて、彼は奥さん一人と言っていた。
大量に買ったからと言って、皆にスニッカーズの小さいのを配ってくれた。

授業後は、カナダ・ウォーターに向かう。
50分ほど歩いた。初めていく場所には出来るだけ徒歩で行きたい。
土地の様子を見るためだ。水辺にある劇場に着くと、
ジェニーというスタッフが丁寧に案内してくれた。

地下鉄の真上にあって、図書館も併設しているから若者たちで
賑わっている。130席ほどの劇場が一つきりだけと、
ここにも、会議・稽古のためのスペースは6つもあった。

ジェニーは自分のために予め全ての空間の電気をつけておいてくれた。
丁寧な歓待に感謝して、明日また来ると言って別れた。
リヴが23日にこの劇場で行われるポエトリー・リーディングの
チケットを予約してくれているのだ。何度も来られて嬉しい。

↓水辺のCanada Water Theatre
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30分ほど戻るかたちで歩きながらAlbanyを目指す。
途中、ホームセンターを発見して、じっくり文房具を買った。
このところずっとダブルクリップとクリアファイルを探してきたが、
英国の百均にあたるパウンドラウンドやスーパーには皆無なのだ。
ここでやっと見つけて嬉しい。他の売り物を見て周り、妙に置物が
充実しているのが可笑しかった。

↓偶像が好きすぎるのではないか
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Albanyに短時間行き、セリにここ数日の体験を話しつつ、
夜の予定の確認をする。オンライン会議があると聞いていたのだが
ミーティングアドレスがどこにあるかを訊いたのだ。

全体メールで回ったカーソルをクリックするべしとの返答。
参加してみて分かったのだが、これは法人全体の年次総会だった。
2020-2021年のお金の収支、各企画の進捗、これからの展望について
それぞれの担当が話すのだが、驚くべきはそのスタイルで。

なんだかテレビやラジオの番組風に総会が展開するのだ。
全体を進行するのは若い男女で、彼らがパーソナリティーとして喋り
ギャビンの代表挨拶や担当の発表を促していく。

合間には音楽も鳴るし、企画説明の時にはそれぞれの進捗を
極めてわかりやすく、魅力的にまとめた映像が流れるのだ。
ニュース番組みたい。対外的でなく、組織内の44人のメンバーが
視聴するものなのだが、約2時間の番組風で愉しんだ。

内容にも増して、この形式を生み出すのにどれほどの労力を
かけたのか訊いてみたい。社内報や忘年会の充実に全てを賭ける
班があるのだろうか。皆が全体を把握することをいかに重視しているか
実感した。

そうだ。今日はセリにあってから年次総会までの間に時間があり、
初めて英国の床屋に行った。床屋は街中に溢れて迷ったが、
語学学校のそばの店に飛び込むことにした。
朝に通りかかった時に、スタッフの男性がシャッターを開けているのを
目撃したが、彼の耳の上の刈り上げ部分には小さなハサミのタトゥーが
あり、よほどこの仕事が好きなのだと興味を惹かれたのだ。

果たして、その男性は他にお客さんがいたので、
店主らしいおじさんが相手をしてくれた。横浜の床屋で、
髪を切り立ての自分を撮影しておいたので、それを見せながら説明したら、
任せておけと言って散髪が始まった。かなり剛腕な散髪で、
自分の場合、一才をバリカンで行ってくれた。ソケットを念入りに
取り替えて矢継ぎ早だが、終わってみて側頭部と後頭部の刈り上げ具合が
すごい。我ながらビロードのような触感なのだ。こんなのは初めてだ。

結果的に、シャンプーや顔剃りは無かった。
初めてなのでなるに任せたが、驚いたのは、両耳を炎で炙られたことだ。
高級な葉巻に火を付ける時に使う、あんなようなもので、
かなり熱い思いをした。訊けば、これで耳周辺の産毛が処理できるらしい。
しかし、驚いた。

帰りには、通り掛かりのタイ式マッサージが気になった。
横浜では定期的に整体に通ってきたので、ぜひイギリスでも行きたいが
ここは自分が入って良い店だろうか。
帰って調べようと店の写真を撮る。

今日は徒歩移動のみに終始し17km。よく歩いた。

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