5/3(火)先週末から週明けのロンドン

2022年5月 3日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note

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↑終了後の稽古場。チェンバロが見える。


これをロンドンの都心で書いている。

飲食店はどこも高いこの街では、屋内にフリーで座れる場所は貴重だ。

ナショナルギャラリーの横にある教会セント・マーティン・イン・ザ・

フィールズの地下は落ち着いてデスクワークができる場所だ。


それにこの教会はイベントに大変熱心で、

3月にはここでBBCシンガーズの『ディドーとエネアス』を聴いた。


今日は地下1階のテーブルに陣取ったところ、地下2階に稽古場が

あるのを発見した。このゼミログを書いているすぐ横では、

ガラス1枚を隔てて木曜に上演予定のヘンデルのオペラ

『セルセ』の稽古が行われている。


主役級の歌手が、出番の合間にコーヒー片手に目の前のテーブルで

休憩し、電話をし、くつろいだ後、また稽古に戻っていく。

稽古場の中はは紀元前5世紀頃のペルシャ。

さすがヘンデルの地元。これがロンドンだ。


4/29(金)夜は内田光子さんのリサイタルに行ったが、苦しかった。

弱音と不協和音が連続する現代作曲家の曲に対し、周囲に沢山いた

中国人旅行者たちが騒々し過ぎたのだ。


まず、私の席に言ったところ、先に座っている人がいて閉口。

チケットを示してどいてもらった。

隣の中年夫婦はひっきりなしにお互いの体をまさぐり合うか、

姿勢悪く寝ているかだった。一方、当日パンフがオンライン配布なので、

ケータイの明るさを最弱にして読みながら聴いていたら、

二席隣のおじさんが「目に入るから電話を閉じろ」という・・・

苦いコンサートだった。


4/30(土)はサウジアラビア人の友人アジードと最後の晩餐。

その前にロンドン・セントラル・モスクに一緒に行こうと約束したが、

こちらが着いたところで電話があり「間に合わない!」と。

後でレストランに着いて分ったが、この日、彼は半年間お世話になった

ホストマザーを連れてハロッズに行き、お礼に高級なアラビアの香水を

買っていたのだ。彼が案内してくれた店でした三人での食事は面白かった。


予定の組み方も、案内の仕方も、メニューの頼み方も、

18歳の彼のアテンドはものすごく未熟だ。

でも懸命で、こちらに自国の食べ物や感謝を伝えたい気持ちが伝わってきた。

同じアラビア圏のトルコ人留学生たちと、友達になってはケンカ別れを

繰り返していた彼。彼の目標である良い医者になって欲しいし、

彼とは再会の可能性があると思う。何年後かに日本を案内できたら嬉しい。


一人で満喫したモスクでは、イスラム教の合理性がよくわかって

楽しかったし、食事も美味しかった。久々に沢山お米を食べた。

アジードに幸多からんことを!


5/1(日)は唐ゼミ☆本読みWSをしてキングスプレイスに出かけた。

ピーター・フィッシャー率いるチェンバー・アンサンブル・オブ・

ロンドンを聴くためだが、キングス・クロス周辺の文化施設は

綺麗すぎて自分はどうも馴染めない。演奏会は会心の面白さだった。

ピーターはフィルハーモニア管のツアーに同行するため、

夜中にヘルシンキに向かった。激務だ。


5/2(月)。銀行が閉まるバンクホリデー。メーデーだ。

朝から『腰巻おぼろ 妖鯨篇』と格闘して、へばり気味だが、

昼過ぎにはウィグモアでガーシュインを特集するコンサートを聴いた。


その後、今後の遠出に備えて電車に切符を買いに行った。

オンラインでの申し込みが基本だが、なぜかクレジットカードが

はじかれる。そこで現地購入。


時間の無駄とも思うが自分はこういうのが好きだ。

劇や音楽の公演も、できればボックスオフィスで買って

紙チケットが欲しい。スタッフに質問したりすることも含めて、

時間に余裕があるからできる贅沢だと思う。


そして都心を歩き回り、今、冒頭の教会にいる。


今日、ダイアンは大金持ちの友人に誘われて、

ロイヤル・オペラ・ハウスでディナー付きボックスシートだそうだ。

出がけにストールの色やバッグの色について意見を求められたが

明らかに派手な方を選んで欲しそうだったので、そちらを指さしたら

喜んでいた。


他方、土曜未明にグリニッジ駅前のバーで殺人があったそうだ。

酔っ払った30歳前後の友人二人がケンカをして、一人が刺されて

亡くなり、一人は警察に捕まった。あまりにあっけない。

これがロンドンだ。


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