6/8(月)トラックに告ぐ

2020年6月 8日 Posted in 中野note
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↑だんだん以前の渋滞が戻ってきました。

一昨日、唐さんをお送りして車を運転していた時の話をしました。
そこで久々に思い出したことがあります。

横浜国大から唐さんのお宅へは、大学を出てすぐ第三京浜に乗り、
玉川出口を経て都内に入るコースを取ります。
その第三京浜上でも唐さんは、印象深い発言をされます。

唐さんをお乗せしているので、
私は一にも二にも安全運転を旨としていますが、
酔っぱらった師匠は通し稽古の興奮も手伝って豪放です。
若い男女の乗った左ハンドルのスポーツカーに抜かれた時など、
「どうせレンタカーだろ!」と吠えていました。

そういう時、こちらは"車"に唐さんの芝居に引っ掛け、
『腰巻お仙〜義理人情いろはにほへと篇』3幕に出てくる
美少年の科白「海辺をひとっ走りさ〜」や、
『続ジョン・シルバー』1幕でヒロイン・小春が
愛車ムスタングで叫びまくるシーンを諳んじて盛り上がります。

ある時、フッと唐さんが静かになって、
窓の外を見つめていたことがありました。
見れば何台ものトラックが次々と東京を目指して殺到していきます。
「・・・この物流が憎い」そう唐さんは呟かれました。

90年代から2000年代にかけて書かれた唐さんの劇の設定は
いつも時代から置き去りにされた人やモノ、
お店や工場を舞台にしてきました。

ここでいう"時代"とは、ほとんど"経済"と同義です。
しかし、ITや六本木ヒルズでなく、
高速道路をひた走るトラック目掛けて"経済"を感じるところに、
やはり唐さんだと思わずにはいられません。

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