2/11(金)家が見つかりそう

2022年2月11日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
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↑ジャック・ザ・チッパーのおじさんにまた来ると伝えたが、再訪なしかも。

今日を以って『秘密の花園』を一通り打ちこみ終わった。
かなり読めたつもりだが、前半部分の「夕泣き丸」「夜泣き丸」部分の
描写が浅い。今後は睨めっこして、考え抜きたい。
それに、自分が参考にしてきた単行本は、あくまで改訂版だ。

1998年に行われた唐組秋公演の素晴らしさを受けて出版されたから、
首藤幹夫さんによる舞台写真がいっぱい。
最近はお目にかかっていない堀切直人さんと、亡くなった立花義遼先生、
そして、室井先生による解説が載った沖積舎版。
1982年に初演されたものから、唐さんによって少し書き換えられている。
その差も検証したい。

後半二幕のアキヨシといちよの会話には随所に赤ちゃん言葉があって、
これは初演バージョンの名残りなのだと、大学一年生の時に受けた講座の
なかで唐さんはおっしゃっていた。劇中歌をいちよ役の緑魔子さんが
歌ったはずでもある。これを遡ることで、執筆時はどうで、
唐さんが何を考えて書き換えたのか、これから考えてみたい。

さて、前日(2/9)に『芝居の大学』のためにお休みした語学学校に行く。
すると、受付で総務の女性に話しかけられた。
実は火曜目を終えたところで詳細なアンケートがメールで送られてきた。
自分はそれに、ちょっと講座のレベルが高く感じたことを伝えたのだ。

事務局は柔軟に対応してくれたらしく、今日、試しにもうひとつ初級を
受講できるよう手配してくれたらしい。それを受けてみて、
アツシに判断して欲しい、と。

新たな教室に行ってみて、即座にこっちだと思った。
この学校のなかで最も初級にあたるこのクラスは、明らかなタレント揃い。
アルジェリアやロシアやブラジル、そういった国々の青年たちが、
とにかく騒がしく、人間としてのパワーに溢れている。

先生もまた、お腹痛いと言いながら少し遅刻したのにも好感が持った。
さらに遅刻した生徒が後から後から入ってくる。
こう書くと怠惰なだけのようだが、授業中は質問が飛び交う。
私語も飛び交う。その度に先生は笑いながら、静かに、と嗜める。

すっかり気に入ったし、自分の英語力に合っていると思ったので即決。
デイビット先生に謝りに行ったら、気持ち良く送り出してくれた。
初日と二日目のクラスの生徒たちの何人かも「なぜいないんだ?」と
声をかけてくれ、後ろ髪も引かれたけれど、基礎クラスに編入した。

総務の女性には、アツシはいつから英語の勉強を?と改めて訊かれた。
日本では中学生からやるけれど、自分は去年から取り組んだと伝えた。
「なぜ、10代の頃からできなかったのか?」とも言われたので
「日本語を勉強するのに40年かかった」と答えた。

事務室の人たちは爆笑していたけれど、
早朝、こちらは必死に唐さんの日本語と向き合っている。

一方、体調的にはあまりに眠いし、頭も痛いので、
コスタコーヒーのメニューにチョコレートのお菓子を加えた。
ロンドンに来て以来、あまり食事をする気になれないし、
体がスッキリしていくようで悪くないので、あまり食べてこなかった。
しかし、加糖したら、頭がスッキリして2時限目はあっという間だった。

ディスカッションでは、どこでフィッシュ&チップスを食べたら良いか
を話題にした。10日ロンドンにいて、自分はまだ食べていない。
グリニッジ大学近くに数軒ある店の中から一つを勧められた。
明日においしかったか教えてくれ、と言われとなると、
こうなると今日は昼飯を食べる気になる。

JACK THE CHIPPERというお店。
タラを揚げるのに7分かかるというから、お店のおじさんと話し続けた。
パンデミックでぜんぜん観光客が来ないとぼやいていたが、
あなたは良い店を選んだ、推薦した先生の目は確かだと言って、
グリーンピースのペーストを付けてくれた。これが古典的スタイルだ、と。

ホテルに足早に戻って急いで箱を開け、食べる。
噂に聞いていたよりよほど美味しい。タラに鮮度がある。
しかし、味は薄い。日本ほど塩分が濃くないせいもあるけれど、
魚の甘味に乏しい。チップスも美味しいけれど、量が多すぎる。
グリーンピースのペーストは、砂糖と水分を加えればお汁粉のような味。

と、ここからが劇場研修。
Zoomで「HERE NOW US」というプロジェクトの進行確認会議に加わる。
もちろん途中参加だし、英語が厳しいのだけれど、まだらに理解したところに
よると、劇団スペアタイヤの代表レベッカさんを中心に進むこの企画では、
地域の学習障害がある青年たちと美術やインスタレーションを作って
彼らの活性化を図っているそうである。去年から各地でWSを進めてきたけれど、
ずっとコロナとの闘いで、中断やオンラインの活用に苦労しながらやってきた。
そういう内容だった。ディスカッションが始まると、翻訳ソフトも使いながら
ギリギリとそれにしがみつく。映像紹介があるとホッとする。
90分でどっと疲れた。

今日とったメモをもとに、次にエマに会う時、質問攻めにしなければ。
他方、電話で話したミミは体調が悪いらしい。忙しい彼女が心配だ。

さらに、今日はここからが勝負の時。
3月から入居できるかも知れないお宅の内見に行った。
そこは、今いるホテルから歩いて10分ちょっとのところで、
グリニッジ公園の通用門が目と鼻の先にあるお家。
ひとり暮らしのシニア女性が、部屋を貸しているらしい。
近々、現在の借り手が出ていくので、申し込みをすることができた。

早めに行き、教わったアドレス直前で少し迷っていたら、
知り合いだという近所の女性が案内してくれた。
出てきたのは、教養があって、少し厳格そうな女性。
部屋を見せてくれたり、コーヒーをご馳走してくれた。

何か望みは、と言われたので、少しお話ししたいと伝えて、
自分がロンドンに来た目的や、これまでの10日間のこと、
思い描く生活スタイル、家族や唐さん、唐ゼミ☆やKAATでの
仕事について話した。

彼女も、自分の家族や、便利なお店、行くべき文化施設、
大好きだというフットボールチーム、トットナムについて話してくれた。
さっきあなたが行ったフィッシュ&チップスは間違いだ、
この地域でベストなのは THE GOLDEN CHIPPY だ、とも。 

あとはエージェントを通してやりとりしましょう、と言い合って失礼した。
ここで暮らせたら願ってもないけれど、どうなるか。

今日は都心に出るには充実し過ぎたので、教わった商店を確認するために
カティサーク〜グリニッジの辺りを歩いて、ホテルに戻った。
先日見つけたジブリ上映中の映画館の他に、この街にはもう一軒、
スクリーンがあることもわかった。

夜はホテルのロビーでメールを打ちまくったり、台本を読んだり、
2/14までの予約を延長した。ずっといるから、受付の人と打ち解けてきた。
もっといろというけれど、さすがに財布がもたない。
就寝は24:00。

翌2/11は唐さん82歳の誕生日、うちの娘も3歳になる。

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