2/29(土)唐さんから頂いた交通費で別役実
2020年2月29日 Posted in 中野note
↑立派です!
白水社が1995年に出したブレヒト戯曲選集5巻セットです。
神奈川芸術劇場で働く先輩に、未来社の全集版より良いと教わったので、
思い切ってかなり奮発しました。
この本屋は、
時に20年以上前に出版された本も新刊で売っていることがあって、
最後の手段、という感じで頼りにしています。
本を買う時、
横浜の有隣堂、渋谷か東京駅の丸善、新宿の紀伊國屋
それでダメなら、池袋のジュンク堂、という風に格上げしていきます。
これは大学に入った時からの習性で、
間に三省堂や八重洲ブックセンターを入れることもありますが、
だいたいこの順序でカタがつきます。
最近はネットに頼ることも多いですから久々にあの店を訪れたのですが、
ふと、大学一年の初夏に雑司ヶ谷鬼子母神で、
紅テント立てを手伝った時のことを思い出しました。
唐組劇団員の皆さんが幕や柱の下ごしらえを終えた頃、
唐さんが遅れて現場にやってきます。
テント立ての肝となる、屋根幕をポールで押し上げる作業を
監督するためです。
当時の私はほぼ初めての参加でしたからかなり緊張していましたが、
唐さんは劇団員たちにロープを引かせながら「あと2センチ!」
などと指示を出し、鋭い目で微調整をはかっていました。
昼過ぎになって、座長が立ち会うべき要所を乗り切ると、
唐さんは私を呼んで「交通費ね」と言って千円下さり、帰っていかれました。
夕方まで手伝った帰り、
私は唐さんから頂いたお金を単に交通費にするのが惜しいように思われ、
初めてのジュンク堂に寄りました。
実家の名古屋にも大きな本屋はありましたが、その規模と在庫数に唸り、
"東京"を感じました。
それにしても、あのとき買ったのは、
なぜか別役さんの『マッチ売りの少女・象』なのです。
どうしてライバル作家に加担してしまったのか(笑)、
今ではさっぱり思い出せませんが、
おそらく、店頭にあった唐さんの本は全て持っていたからであろうと、
自分に言い聞かせることにします。
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