1/11(火)カギを失くしてさまよう
2022年1月11日 Posted in 中野note
↑漱石は、このロンドン塔の周りをグルグル回ったらしいです。
前回の日曜日のこと。夕方に出かけようと思ったのです。
どうしても気になる本がある。
こういう場合、よく丸善ジュンク堂の検索サイトを利用しますが、
東京のどこにもない、もちろん池袋や丸の内の本店にもない本が、
何故かみなとみらい店だけにあった。
午前中からお昼過ぎまでの予定を捌き、
まだワークショップ開始までには2時間弱ある。
『吸血姫』も残り2回ということで、よくよく準備をしてあるし、
少し運動もしたい。
走るには遠いので、普段はあまり乗らない自転車で出かけました。
経路はめちゃくちゃで、入ったことのない路地にわざと入り、
ウキウキと目的の本を目指します。
20分ほどでクイーンズスクエアに着き、
他にも文庫本など見たりして、しっかりと目的の本を買いました。
そして、もと来た道とは違うルートでこれもご機嫌で帰る。
時間に余裕があったので、家の近くの公園をランニングして、
上気してマンションの一階に滑り込みました。
そこで気づいたのです。カギが、ない。
前にも車のカギを落としたことがありましたが、
今度は家のと、愛車が廃車になった後に利用している
長期レンタカーのキーがセットになったものをやってしまったのです。
しかし、気づいたものの目の前に迫るワークショップ。
当座は本屋に電話し、そこで失くしたわけではないことをはっきり
させるので精一杯で、一旦『吸血姫』に集中。2時間、精一杯やりました。
よし、完璧に次週のクライマックスへの布石を打ち切った。
と、我に返りました。するべきことはひとつ。
先ほどの買い物ルートをもう一度巡らなければ。
22:00手前に自転車に乗り、先ほどのルート、途中で利用した
お寺の公衆トイレ、今日はじめて通った戸部の路地、線路の下を通り抜け、
すでに閉まったクイーンズスクエアに到達しました。
この時点で、最後にグルグル走ったあの公園。これが希望です。
一応、順に回ろうと自分に言い聞かせ、焦らないようにしながら
丁寧に自分の足跡を追いました。が、見つからないまま、
残るは最後の公園きり。一周は自転車で、
一周はランニングで回りましたが、やはり見つからず。
仕方なく警察に行き、遺失物届けを出しました。
悲嘆に暮れた翌朝は陽の出前に起き、『鐡假面』に向き合う。
そして夜が明けるのを待って、またぞろ繰り出しました。
太陽の光はありがたいもので、昨晩よりくまなく見ることができる。
が、探しに探してもどうしても見つかりませんでした。
唐さんの好きな夏目漱石のエピソードをまたも思い出しました。
ロンドンで財布を失くして歩き回る漱石こそ、資本主義の迷子だと。
では、カギを失くすのは何に迷うことになるのだろう。
それくらいのことを思って自分を励ましました。
・・・・・・。
結局、後にレンタカーから電話があり、近所の優しい人に
拾ってもらっていたことが判明。スムーズに受け取りまで済ますことが
できました。ああ、良かった。でも、こんなんでイギリス大丈夫なのか?
自分も去年、けっこうな額が入ったヴィトンの財布を拾って持ち主に
戻しましたが、あの時の行いが報われたように思いました。
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