3/19(金)ボクシングとプロレスの違い

2021年3月19日 Posted in 中野note
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↑このリングは大日本プロレスからレンタルしました。

一昨日のワークショップで、
2011年11月にやった『唐十郎21世紀リサイタル』を
振り返る機会がありました。
あの催しでは、石橋蓮司さんも飛び入りで歌って下さったのですが、
その歌こそ、目下WSで取り組んでいる『盲導犬』の主題歌のひとつ
『ファキイルの唄』なのです。

一夜限りのイベントで、観客数は500名弱だったと記憶していますが、
WS参加者の中に当日立ち会って下さった方がいて感激しました。
10年前のイベントを目撃してくださったというのは
ありがたく、嬉しいものです。

また、別の参加者からはこんな質問が寄せられました。
「どうしてステージがリングなんですか?」

良い質問ですね。これを聞いて、私はハッとしました。
唐さんのコンサートといえばリング、というのが定番ですが、
私は唐作品や唐さんの面白さをまだ知らない人に届けたくて
WSをやっています。こういうところを、当たり前にしてしまっていたら
いかん、と思ったわけです。

質問してくださった方のおかげで皆さんに丁寧に説明できましたが、
この2011年のイベントは、唐さん一党が1973年に後楽園ホールで開いた
劇中歌コンサート『四角いジャングルで唄う』に由来しています。
当時、唐さんは大好きなボクシングリングを自らのステージとしました。

ちなみに、梶原一騎原作の劇画『四角ジャングル』は1978年スタート。
ですから、唐さんの方が5年早い。

当然、今回もリングを調達しなくては、と10年前の私は決意しました。
そこで、格闘技観戦に不慣れだった私は、そのちょっと前に友人が
連れて行ってくれた大日本プロレス興行に影響を受けたのです。
ホームページを見たところ、リングの貸し出しをやっている。
しかも、決して値段が高くない。

格闘技観戦の経験が皆無の私は、早速これに飛び付きましたが、
当日になって、自分の浅はかさを痛感させられることになりました。

そうです。そもそも、ボクシングとプロレスのリングでは、
立った時の跳ね具合がまるで違うのです。
(そんなことも知らなかった!)

気づいた私は、即座に、組み立てに来てくださった若手レスラーの
皆さんに、極限までリングを硬めに締め上げてもらいました。
しかし、プロレスのリングである以上、限界があります。

これに気づいてからは皆さんをお迎えするのにハラハラし通しでしたが
唐さんも、小室等さんも、他の出演者の皆さんも「柔らかいな」と
不安をのぞかせながらも、巧みにバランスをとって対応してくださいました。

中でも、これを使いこなしたのが十貫寺梅軒さんで、
若き日の野田秀樹さんも影響されたというあの圧倒的身体能力で
プロレスリングを使いこなし、リアクションのたびにボヨンボヨン
跳び跳ねて梅軒節を炸裂させました。
上手くいって良かった。

コンサート終盤。
会場入り口にはバラシの備えたレスラーの皆さんの姿がありました。
ちょうど、アンコールの『ジョン・シルバーの唄』がリフレインされ、
その場にいる全員が「♪よいこらさあ〜」と歌っていました。

あとでスタッフに聞いたところ、
それを見ていたレスラーの皆さんはすっかりこの唄を気に入り、
「これ、オレらの試合にも使いたい」と言っていたのだそうです。

唐さんの劇中歌がレスラーたちをも魅了するとは!
演劇好きに認められるのとはまた違った、格別の嬉しさがありました。

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