12/30(金)イギリスの習慣ともお別れ
2022年12月30日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
↑『オオカミだ!』仮チラシも完成。すでに走っている!
家での梱包作業や掃除や、私が帰国した後にダイアンが
不自由しないよう買い物をして回らなければならないので、
11か月の中で気に入ってきたものを、短時間で。
一軒目はナショナルギャラリー。
ダヴィンチもゴッホもヤン・ファン・エイクもタダで観られるこの場所で
自分が一番気に入ったのはレンブラントのこの絵だった。
作者自身、画題に興味があるというより、明らかに自分の得意技を発揮できる
一コマを日常から切り取った感じがして、気に入った。
これで、4度目。
二軒目はザ・ウォーレス・コレクション。
ここも入場無料。お金持ちによる私設の美術館だがタダ。
一番有名な絵画はフラゴナールの『ぶらんこ』だが、
正直に言って初めて生を観た時から全く感銘しない。
フラゴナールが描く人物の目はどれも瞳孔が開ききっており、
なんだか頭が悪そう。キューピーのお人形と至近距離で
向かい合っているような感覚。
何を考えているかさっぱりわからない目をしている。
私がここで気に入ったのは鎧兜のコレクション。
昔、子供の頃にガンダムシリーズに「騎士ガンダム」というのがあって、
西洋の甲冑に憧れた。が、実際に観てみると、とにかく戦いの中で
自分の体が傷つかないよう必死過ぎる。
あらゆる隙間を塞ぎにかかった結果、それはとても重そうで、
兜など、ほとんど視界を覆ってしまっているから逆に危ないのではないか。
もっとも、こんな装備を身につけるような人物は、後方で指揮を取るのみで
乱戦の場には立つことがないような気もする。
最後に通い慣れたウィグモアホール。
ここは高級そうでいてけっこう親しみやすい。
目当ての演奏家がくる時はもちろん、特に観聴きしたいものが無い時こそ
ここに来て音楽を聴いた。そうして聴いた知らない音楽家の中に、
ずいぶんユニークな人たちがいることを知ることができた。
昨日もホールに寄ることが目的だったから、知らない演奏家だった。
グリーグに『ホルベルク組曲』というのがあり、あれのピアノ版があるのを
初めて知った。ルズヴィ・ホルベアという17世紀後半から18世紀前半を
生きたノルウェーの劇作家を題材にした曲だ。
「北欧のモリエール」というのがホルベアのあだ名だった。
彼は喜劇の作家だったのだ。
音楽は颯爽として、ホルベアの疾走感が伝わってくる。
思わず胸がすき、開放的な気分になった。
イギリスの美術館は写真撮影OKだし、コンサートホールではグラスを客席に
持ち込んで飲みながら演奏を聴いて良い。そういう習慣ともお別れの日だった。
日本に帰ればそれらは禁止事項だし、またマスクを付けての生活が始まる。
けれども、やっぱり日本での仕事と生活のためにこの11ヶ月間を
過ごして来たから、試してみたいことがたくさんある。
勝手知ったる日本に帰れる。そういう開放感が強い。
やっと自分の持ち場に戻る!
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