2/7(金)コピーライターとしての唐十郎
2020年2月 8日 Posted in 中野note
↑五年ほど前、名古屋は大須にある古本屋「猫飛横丁」で撮影。
唐さんが書きつけたサインやメッセージには、おもしろい発見があります。
言わずもがなですが、唐さんの言葉が好きです。
特に、唐さんが難しい言葉でなく、簡単な言葉を組み合わせて、
しかも、誰もが思いつかないような文章を寄せる時、
真骨頂だな、といつも思います。
今、簡単な言葉、と書きましたが、
唐さんの"簡単な言葉"って、いかにも、
実体験に基づく言葉、肉感を帯びた言葉、生活感に支えられた言葉、
という感じがして、分かるなあと共感しつつ、
それでいて、ちょっと普通じゃ思いつかないなあ、と惚れ惚れします。
唐さんはサインを頼まれると、そこに一文を書きつけることがあります。
写真の、かつて角川文庫から出版された『少女仮面』には、こう書いてあります。
移りゆく風景は
とこしえの衣装である
それをまとって僕は今を横切るだけ
テントをかついで旅する役者集団の誇りと慎ましさ、
何より、颯爽とした感じが伝わってきます。
ちょうど今、私たちが取り組んでいる「風の又三郎」になり切っている、
そんな感じもします。
他にも、2003年夏に私たちが『動物園が消える日』を金沢で公演した際、
地元のファンの方から、唐さんが書きつけたサインを見せてもらいました。
金沢、この小さな中世
『犬狼都市』という単行本の見返しにこうありました。
カッコイイですね。
旅行会社の宣伝にも使えそうです。
1979年春、状況劇場の金沢公演の際に書かれたものです。
いかにもきれいな文句だと思って唐さんに報告したら、
「ああ、ホイジンガの『中世の秋』が流行った頃だなあ」と、
ちょっと照れたようにおっしゃっていました。
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