11/28(火)気になる『少女都市』

2023年11月28日 Posted in 中野note
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↑「季刊同時代演劇」には『鼠小僧次郎吉』と『少女都市』が
収められています


唐十郎作品のうちで、
再演頻度と人気の高いものに『少女都市からの呼び声』があります。

ことこの演目に関して新宿梁山泊の金守珍さんの貢献は絶大で、
かつて状況劇場の若衆公演として新宿ゴールデン街の小さな劇場で
産声を上げたこの作品は、その時にフランケ醜態博士を演じた金さんに
よって何度も何度も上演され、時にはニューヨークでも上演されました。

まさに金さんのライフワーク。
今年だけでも3パターンの上演を金さんは行って、
その粘り強さには頭の下がる思いがします。そうした金さんの展開に
支えられて、ハヤカワの文庫には、『少女仮面』『唐版 風の又三郎』
という代表2作品と並んで、この『少女都市からの呼び声』が
収められたのだと思います。

自分が大学に入ったばかりの時、唐さんは一般教養の授業で
200人からの学部生を相手に、その公演映像を観せていた記憶が
あります。「満州」という要素こそあれ、生まれてこられなかった
妹と兄の織りなすこの物語は普遍的で、お話としての自立度も高く、
初心者にとっても入っていきやすい。
唐さんはきっとそう考えて、あまり自分の芝居に馴染みの無い
学生たちにこれを観せたのだと思います。

一方で、自分は最近、
この『少女都市からの呼び声』のもとになった『少女都市』が
気になるようになりました。唐さんが早稲田小劇場に託した
『少女仮面』の対になる作品として自身の劇団に書いた演目です。

春に比べれば短い秋の公演、
しかも、例の天井桟敷との大立ち回りから唐さんたちが警察に
引っ張られた結果、ただでさえ少ない公演回数をさらに縮小されて
しまったのがこの作品です。

気になるので、来月はこれを研究しようと思います。
せっかくであれば、初めてこの演目が掲載された「季刊同時代演劇」
をもとにやってみようと思います。

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