6/5(金)名古屋の思い出

2020年6月 5日 Posted in 中野note
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昨日の夜はワークショップを行いました。
ここ1ヶ月半はぼちぼち身内でやっていましたが、
緊急事態宣言解除の影響か参加の希望が寄せられ、
リモートで3人の方をお迎えしました。

面白いのは、そのうちお2人は名古屋からの参加だということです。
初め、てっきり知り合いで誘い合ったのかと思って訊いたら、
ぜんぜん知らない同士とのことでした。

3人目の方は神奈川県在住ですが、聞けば名古屋ご出身なんだそうです。
もちろん、私も名古屋。
結果、4人の名古屋人が集結して『少女仮面』に取り組無ことになりました。
参加者の中に最近『少女仮面』を上演したという劇団主宰者さんがいたので、
いっちょうやってみようと思ったのです。

冒頭シーン、老婆と少女・貝が喫茶「肉体」に乗り込む場面について
90分間みっちりやりました。

『少女仮面』と名古屋と言えば、
戯曲が成立してこれから初演という時、唐さんが鈴木忠志さんに
電話して台本の感想を訊いたのが名古屋だったと記録にあります。

当時の唐さんは、『由比正雪』を最後に新宿花園神社を追われ、
『腰巻お仙』の「義理人情いろはにほへと篇」と「振袖火事の巻』を
仕立てて、日本列島を沖縄まで南下、そこから東京まで戻りながら
芝居を行う往復ツアーの真っ最中でした。

名古屋での公演場所は若宮大通り公園。
このツアー中、終演後のテントで一座は寝泊りしていたそうです。
1969年10月が初演ですから、その手前の夏のこと。

いつも紅テントの中で車座になって食事していると白米が赤く染まる。
長い旅の終わる頃にはそれがどうにも嫌になってしまったと、
唐さんから伺ったことがあります。

公演の合い間、
蒸し暑さ極まる夏の名古屋から東京に電話する唐さんの声は、
初めてよその劇団に作品提供した緊張と自信を孕んで、
さぞ涼やかに響いたろうと想像します。
唐さんにとって、上演頻度No. 1の傑作がお披露目される2ヶ月前の話です。

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