10/18(月)浅草入り15日目〜舞台・テント劇場の解体

2021年10月19日 Posted in 中野note

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楽日から一夜明け、太陽光が降り注ぎはじめた。
最後のテント番はひどく寒かったけれど、
6:00を過ぎると急激に暖かくなり、救われたように感じる。
コロナ感染はもちろん、風邪をひいてはいけない。
それが今回の公演の最後のミッション。
みんなも心配だけれど、座長の自分がかかったら洒落にならない。

夜中のうちに方々、連絡をする。
劇中歌作曲の安保由夫さんの奥様と、
編曲&2・3幕で禿が肉を食べた後に歌う『燃えるカゲロウ』を
作曲してくださったサトウユウスケさんに公演の完遂を報告。

初演の『唐版 風の又三郎』時にバリバリの状況劇団員だった
安保さんが今回の上演を観たら何と言うだろう。
ユウスケさんは大学時代からの仲でひとつ上の先輩。
本当に良い先達に恵まれた。

今回、テーマソングにはエレキギターを使われている。
去年、何人か、公演を観た関係者に「あれは合わないね」と言われた。
唐さんの作品はアコースティック演奏が基本で、
ロックっぽいうエレキは似合わない、と。

でも、エレキギターを導入したのには訳がある。
それは自分が20代前半の時、初めて状況劇場の記録音声を聴いた時、
まさしくエレキギターが使われていて、憧れたから。
そう。唐さんも使っていたのだ。

これには不思議な話があって。
近年、状況劇場時代の公演の音声が次々とYouTubeに上がるようになった。
(法的には明らかに問題がある一方、貴重な資料であることも確かで、
是非についてここでは触れない。)

大事なのは、音楽の話。
ネット上にアップされている『唐版 風の又三郎』では、
伴奏にエレキギターが使われていない。
一方、私がさる筋から譲られて聴いた音声資料にはエレキが入っている。

どういうことかというと、ネット上のは京都公演。
私が持っているのは、それより後の東京公演の記録なのだ。
それは、長い長いオープニングシーンからも判断できる。
東京公演の特筆すべき会場は夢の島。ということは背後が海。
だから、劇冒頭に男装したエリカがやってくる場面は、延々としている。

私はこれを面白いと思う。
唐さんはこうして、地方から巡業をスタートさせながら
東京にたどり着くまでの間にも、貪欲に芝居を練り上げていたのだ。

上記の記録からもわかるように、劇中歌の伴奏が増強されたわけだし、
これは安保さんに伺ったことだが、役者同士の掛け合いも格段に
テンポアップして、上演時間が1時間近く縮まったらしい。
それが本当なら、1974.4.10の大初日、福岡公演の上演時間は
いかほどだったのか。

ともかくも、今回、サトウユウスケさんのご友人、
佐鳥研斗さんにエレキギターを演奏してもらって本当に良かった。
最終的には、初演に使っているか使っていないかが問題ではなく、
自分がカッコ良いと思ったからお願いした。そして大満足している。
それが一番。

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閑話休題。私たちのバラシの話。
まず、8:30過ぎには近所に泊まったメンバーが元気よくやってきて、
さらに家に帰ったメンバーも合流。またしても助っ人さんたちに
加わってもらい、9:00に朝礼・ラジオ体操。

一気に劇場や楽屋の壁幕を取り払うと、全体が太陽光を浴びる。
今日の強差しは強く、たちどころに場を温め、乾かしていく。爽快。
午前中には、舞台客席をバラし、また楽屋の中を片付ける。
花やしきさんにお借りした一部屋に、今回はずいぶん助けれたけれど、
この部屋をキレイにお返しするべく、掃除していく。

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面白かったのは飛行機の解体。
全体が丸みを帯びているために、地上置きすると仕事がしにくい。
そこで、齋藤のアイディアで、エンディング時と同じように
ユニック車で少し浮かせて解体を進める。
それがまるで、アンコウの吊るし切りのよう。笑ってしまう。

午後にはテントの解体に入る。
何人か、上空に昇ったスタッフが幕を剥いでいき、
彼らによって幕が降りると、地上で待ち構えるメンバーがすぐに
それらを畳む。

鉄骨の解体に入ってもそれは同じで、
上空での解体→受け渡し→地上での整理という流れにより、
劇場が消えていく。

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陽がずいぶん短くなったものだと感じつつ、
やや暗くなり始めた17:00頃にメインの躯体をばらし始める。
まだユニック車が使えるので、もっとも重い屋根部分の鉄骨を
楽に下すことができた。もう一息の緊張で、全てのものが地上に
並べられ、明日の荷積みを待つことになった。

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その間、私はといえば、保健所に行ったり、
近所でお世話になった人たちのもとに伺って、公演の報告をした。
18:00前には解散して、ユニック車両を川崎のレンタカーに返却。

この車のおかげで、私たちのヒコーキは飛ぶことができた。
お世話になりました。

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