11/26(金)『少女仮面』から『吸血姫』へ

2021年11月27日 Posted in 中野note
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2012年秋の『吸血姫』唐ゼミ☆上演です。写真は伏見行介さん。
土岐泰章がいます!

明後日には『吸血姫』ワークショップが始まります。
そう。この前の日曜を以って『少女仮面』を終えたのです。
けっこう駆け足に『少女仮面』を終えたのは、
大長編である『吸血姫』に時間を割くためです。
シミュレーションしてみた結果、やはり8週間はかかる。

尻すぼみにロンドンに行きたくないので、ちょっと急ぎました。
それにしても、『少女仮面』のエンディングは、やはり苦かった。

テント上演を想定していないからかも知れませんが、
最後にどうにも突き抜けません。

「春日野八千代」を名乗った初老の女が、今後もそれを貫くのか、
それとも、ここで宝塚のスターたる衣裳を投げ捨ててしまうのか、
その終幕からは判然としません。

上演にあたる演出家や現場に委ねられている感じなのですが、
貫くにせよ、退くにせよ、ヒロインの心はどうにもギリギリで、
一緒に喫茶〈肉体〉にしがみついてきた「ボーイ主任」とともに、
崖っぷちという感じです。たいへんに辛い。

考えてみれば、『少女仮面』は初めて、
自分が実際に上演したことのない作品を取り上げました。
自分が未上演の理由として、ひとつには他団体による上演の多さが
挙げられますが、このエンディングの苦さも、自分にはハードルです。

やはり、劇には希望を持ちたい。
唐さんの劇は、特にテントを開発して以降の劇は、
例えどんなに主人公たちが追い詰められようと、
あらゆる障害を蹴飛ばして明るい。そこが魅力です。

かなりヤケクソな感じがする時もありますが、
不幸も極まるとこれを突き抜けてしまい、どうでも良くなる。
そういう仕掛けです。

一方、同じ少女をテーマに、集大成的な痛快さに至るのが
『吸血姫』だと思います。不幸の総量はこちらの方が膨大なのですが、
エネルギーが圧倒的です。これこそ、唐さんが60年代後半に
追いかけ続けた「少女もの」の集大成に違いありません。

『吸血姫』WS。充実の年末年始を約束します。

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