2/25(金)広場とポエト

2022年2月25日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note

IMG_6475.jpg

Deptford Lounge 館長のアネッテさんは、まるで地域のお母さん。

ヨークシャー出身の彼女と『嵐が丘』についても話した。


昨日もいろいろなことがあったので、特筆すべきことを三つほど。


一つ目。

語学学校の同級生、ヤジーズ君がサウジアラビアの大金持ちと知る。

お父さんは企業の社長(何の仕事かは不明)。

運転手付きのロールスロイスに乗っており。兄弟は12人。

前回の誕生日に彼がもらったプレゼントは良質の馬だという。

「Very Cheap!」が口グセ。

週末ごとにセントラルにあるタイガー・タイガーというクラブに

通っているが、行くと意外と奥手で、何人かの女の子とやっと

インスタアカウントを交換してもらい喜んでいるとは、同行した人の談。


二つ目。

初めて、Tha Albanyが運営する別棟施設 Deptford Lounge に行く。

というか、いつも横を通っていた図書館の建物がそれと知って驚く。

ここは日本でいえば生涯学習施設で、地域の人に集会や練習の場を

提供しているが、特筆すべきは学童を含んでいることだ。

屋上にグラウンドまである。

劇場とは直接関係ない施設を運営することで、縁遠い人たちを

公演やワークショップに招き入れるシステムの窓口になっている。

感心した。


三つ目。

Canada Water Theatreでポエトリー・リーディング公演に参加。

『OFF THE CHEST』というタイトル。

プロのMC、プロの詩人、アマチュアの中からオープンマイクに

手を上げて選ばれた10人が出演者だ。

特に面白かったのはもちろんオープンマイクで、腕に覚えのある

人たちが詩やラップを繰り広げる。少女の告白といった向きの

朗読もありました。中でも胸を打ったのは、20代半ばと思しき

大柄の黒人青年の訴えです。彼は非常にたどたどしく、けれども

他の人とは違ってノートやスマホは一切見ず、コロナにより仕事を

奪われ、孤独であることを語った。


それは、自分の語学力の低さを貫通して、たちどころに理解できる

ものだった。彼が終わった後は、皆が立って彼に拍手。全体の終演後は、

ロビーや劇場内で延々語らいが止まらず、時間が過ぎていく。


当然といえば当然だが、普通に会ったら

絶対に近寄りがたい風貌の青年が、同じ人間なのだと切実に実感した。


劇場スタッフのリヴやジェニーは、早く帰りたいなあ、とは冗談で

言いけれど、片付けられるところを片付けながら、彼らを見守って

いた。毎日、少しずつ粘ることこそ難しい。なかなか出来ないことだ。

内容や関わる人たちを尊重する姿勢が、この劇場のスタッフには

浸透している。彼らを見ているとたのしい。


働き過ぎではないかと思ってリヴにそう伝えたら、彼女は週末から

週明けまで休みをとって、イタリアに行くそうだ。片道5,000円も

せずに行く方法があると教えてくれた。写真をたくさん撮るのだと

行っていた。サッとイタリアに行く。カッコいいなあ。


お代は見てのお帰りなので、専用の回収バケツがある。

IMG_6478.jpg



トラックバックURL:

コメントする

(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)