3/12(土)ロンドンにも桜は咲く
↑家から5分のところにあるスーパーの前
今日は土曜日。しかし、林麻子のワークショップはお休みです。
彼女の劇中歌WSはニッチな感じもしますが、実践的で面白いものです。
なかなか参加者が増えないのでどうしてだろうと思っていたら、
"歌う"という行為に気後れするのだと聞きました。
確かに、歌のWSは参加者同士、家で家族から見られることを考えても
二重の恥ずかしさがありそうですが、唐十郎フリークにはぜひ参加して欲しい。
唐さんは若い頃からシャンソンやカンツォーネに目がなく、
劇中歌は唐さんの芝居の全編を集約する宝石です。
ひとつの歌を歌詞を読み解きながら歌ってみるだけでなく、
その同じ歌が、物語の進行とともにどう意味を変えていくか
知ることも重要かつ愉しい作業です。
楽しい歌が悲しい歌に変わり、主人公を励ます讃歌になったりする。
観劇後につい口ずさんでしまう劇中歌のある劇は名作です。
今ならまだ少人数。ぜひ讃歌してください。
さて、私の方は徐々に暖かくなるロンドンを味わっています。
今日は土曜日なので朝の動き出しに余裕があり、
家の近くに桜があるのを発見しました。
しかし、ロンドンはしばしば強風。
そのために雨が降っても誰も傘をさしません。
それほどの強い風がいつも吹いています。
当然、咲き誇る桜にも容赦なく風が吹き、
日本で見るような雅やかさは望むべくもありません。
他面、「ガンバッて咲いています。一瞬の命です」という峻厳な感じする。
ここ数日も色んなものを見ていますが、
一番すごいと思ったのはナショナル・ギャラリーでした。
これだけ錚々たる絵画をいとも簡単に、しかもタダで見て良いのか?
と思うくらいに、ロンドンは恵まれています。
日本の美術館では考えられませんが、ここでは、
フラッシュをたきさえしなければ誰でも撮影OKで、
有名な絵と記念撮影する老若男女をたくさん見ました。
日本だと"印象派展"という風にならざるを得ませんが、
ここには数百年間の絵画が勢揃いしていて、それぞれの時代に
人が世界をどう見ていたか、実感することができます。
被写体がキリストや聖人たち、王様ばかりの時代、
平面的で、画角いっぱいに光の当たる世界観から、
徐々に陰影がつき、遠近法が導入され、"人間"が自らの個を
強く信ずるようになった過程がダイレクトに実感できました。
あれだけのものを見て街に出ると、
ああ、自分の前に広がる景色のこの見え方も、
自分が生きている時代固有のものに過ぎないのだなと痛感します。
普段、自分が文学や歴史、もちろん演劇を通して味わっている愉しみ。
それぞれの時代や地域の人たちと交流する面白さを、
この日は絵画を通して味わいました。
当日にネットで予約すればすぐに飛び込むことができるのも魅力です。
カタログを読んで、また行ってみたいと思います。
↓大天使ミカエルが悪魔をやっつけている絵
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