11/17(木)Tea Danceがあった

2022年11月17日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
DJブースの裏から見たTea Dance.jpg
↑DJクリスが皆から募った曲をかけて踊らせまくっている

Albanyで"Tea Dance"があった。
前回、6月に参加したときはこれがイベント名だと思い込んで、
普通名詞であると知ったのはその後のことだった。

"Tea Dance(ティー・ダンス)"。
もともとは、イギリスの田舎で夏から秋にかけてガーデン・パーティーを開き、
踊ったり、軽食とともにお茶の飲んだのが始まりらしい。
時間は午後のお昼過ぎと決まっていて、だから、夜に開かれる場合は
"Tea Dance"とは呼ばない。"Dansant(ダンサン)"とも言う。

Albanyでは、レジデントカンパニーの代表格である
Entelechy Artsが主催して半年に一度、これを開く。
前回は劇場が他の大事業に忙殺されていて使えないために
他の文化施設に流れざるを得なかったが、私にとって二度目にして最後の
参加となる今回は、ホームグラウンドであるAlbanyのホールでの実施に
立ち会うことができた。

楕円形の劇場構造を利用し周囲にイスとテーブルが設られ、
マスコット的な存在であるクリスの司会とDJにより会は進む。

合唱、ダンス、詩の朗読、ソロの歌の披露など盛りだくさんで、
会を進行させながら、ホールの端の方では即興的なペインティングも
繰り広げられた。今回はスコーンは無かったが、前回と同じく
ケーキ、お茶、コーヒーの消費量が半端なく、皆でやりたい放題している
感じだった。

この会の始まりから20年、ずっと参加してきたシニアが
自らの思い出を語る切々としたスピーチがあった後、
サイモン&ガーファンクルの『ブックエンド』が合唱され、
それぞれの大切な人のドローイングを持ちながらダンスが踊られた。
続く青年が、友人のアコーディオン伴奏により朗々と 
"Over The Rainbow"を歌い上げて周囲は感動に包まれた。

こういう時のクリスの反応は鋭く、司会のトーンを囁くような語りかけに
切り替える。そして、割れんばかりの拍手が起こった後は、
まさかのビヨンセ。結局、ビヨンセは最強で、老若男女、障害の有無を
超越した熱狂を生んで場は閉じられた。

イギリス人にとって、クラブカルチャーと、スピーチやポエトリーが
根付いていることがこの会の成功理由だと思う。
同じ仕立てを日本に移したところでお互いに恥ずかしがるだけだと
想像できるが、私たちにだって、餅つきや節分、盆踊りというイベントが
あるわけだから、ああいうものを劇場が援用すれば難しくなくできると思う。

季節感や年中行事が希薄になっていく中で、だからこそ劇場の役割が
出せるのではないかと思う。
終わった後にスタッフ会議があって意見を求められたので、
「日本には季節の変わり目に豆を投げるイベントがある」と伝えたら全員に
爆笑された。それだけで相当に意味不明だったらしいので、恵方巻き情報を
かぶせるのはやめた。彼らが節分の風景を見たら、どう思うのだろうか。

季節の変わり目に"魔"がやってくるのは同じと思うが、
こちらではハロウィーンに家々を訪ねる子どもたち=精霊たちにお菓子をあげる。
いきなり豆をぶつけて追い出す日本より、寛容だとも思える。

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