2/22(火)先週末〜週明けにかけて

2022年2月22日 Posted in 2022イギリス戦記 Posted in 中野note
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↑通りがかりのおじさんは、木に足をのせろ!と言った。

ずっと雨。ザーザー降りではないが、1日に一度は小雨が降る。
そして強風。先週の木曜、学校でもAlbanyでも
「明日からの嵐に気をつけて」と言われた。

なんぼのものかと思って金曜(18日)の朝に起き出すと、
確かに吹いている。そしてそれは週明けの月曜まで続いた。
これがロンドン名物らしい。雨でも、よほどでなければ人々は
傘をささない。よくこのような強風が伴うために、傘が壊れてしまう
のが原因のひとつだと言っていた。

学生時代にやった巨大バッタ時の強風、
テント公演で揉まれてきたいつくかの強風を思い出す。
という経験を持っているので、恐るるに足らず。
野外劇の『青頭巾』を石巻の中瀬公園でやった時、強かったな。

金曜に起こったことは、Facebookに書いた。
お世話になっている人が多く見ているFacebookは週一ペースでの
更新と決めた。ダナという女の子のフェアウェルランチに連れ立ったが
これがなかなかの激闘で愉しませてくれた。

2/19(土)
学校で知り合ったブラジル人の青年ギリアミ君と前日に約束し、
朝から国立自然史博物館を目指す。ただし現地に行ってみて、
無料ではあるが予約が必要であり、それはもういっぱいだと二人で
知ることになった。残念。と、向かいに別の博物館がある。
V&Aミュージアム。これ行こうと言って入ったが、当たりだった。

ヴィクトリア&アルバート。英国が帝国として最も輝いていた時代、
それが19世紀に長期君臨した女王に由来するヴィクトリア朝時代だが、
旦那との名を連ねたこの建物は、ものすごく広く、世界各地から
当時のイギリスが調達した品物で溢れている。当時の栄華が伝わる。
仏像も、ギリシャ神話の英雄たちの像もある。

門などに使われる金物のレリーフをギリアミ君が熱心に記録している。
彼の父は、金物を扱う職人だという。彼自身は建築家。企画や設計、
ペーパーワークが仕事だと言っていた。28歳。

ファイブガイズというハンバーガー屋で食事して別れ。
午後は雨量が増してきたので、一旦ホテルに戻り、『秘密の花園』を
読んで、少し昼寝した。夜はAlbanyでギグなのだ。

Albanyでの催しは全て出席しようと決めているから、
7:30pm開始というふれ込みに従って劇場に行く。ただし、どうも
この時間は開場時間のようで、実際にスタートしたのは8:20pm過ぎ。

これが、望外の面白さだった。
Charles Haywardというドラマーが中心となり、集めたメンバーで
繰り広げたライブだったが、Albanyはステキなライブハウスと化し、
179名(後で技術スタッフのケイトリンに聞いた)が寝そべったり、
座り込んだりしながら酒を手に手に聴いている。イスは少量。
かつてプログレと云われ、今はエレクトリカル・ロックとされている
音楽演奏。

音楽に呼応して絡みついているカップルは、セックスし始めるのでは
ないかという程に盛り上がっている。演奏は素晴らしかった。
20分ほどの曲を2曲やって、休憩。後半は別の人のドラムと
サックスの巨匠の即興。これも2曲やった。

打ちのめされた。終演後、チャールズ・ヘイワードに寄っていき、
最高だったのであなたを追う、と伝えた。11:00pm過ぎに興奮しながら
帰って、渡邊未帆ちゃんに報告すると、彼が組んでいた「ディスヒート」
というバンドが有名だという。大里先生に報告したかった。

↓ヘイワードさんと
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↓ライブの様子
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2/20(日)
朝から唐ゼミ☆ワークショップ。佐々木あかりが公演を終えて
帰ってきた。アシスタントを得て楽になった。
一回に約20ページずつ進む。一幕おわりまでいき、
文ちゃん、洋一、キティ瓢田というサフラン座のトライアングル完成。

急いで11:30amまでに入店した者が食べられる
イングリッシュブレックファーストにありつき、帰りに駅前にきたところ
強風で木が根こそぎ倒れている。眺めていたら、近所のおじさんが
写真を撮ってやろうと言い出した。面白い人だ。

午後はヘイワードさんのCDを手に入れようと街を徘徊するが
なかなか取り扱いがない。どうしたものか。
そして、夜にウィグモアに行き、初めてギトン・クレーメルを聴いた。
シューマン、ヴァインベルク、ラフマニノフというプログラム。
初めて生で聴くトリオの曲だが、量感がある。クレーメルは
じくじくとした弱音の手つきがエロくてあやしい。
往々にしてピアノがデカすぎると思った。アンサンブルそっちのけで
グイグイくる。

2/21(月)
今日から学校の先生がエリザベスさんという女性に変わった。
彼女とすごく打ち解ける。理由は簡単で、趣味と行動半径が激しく
一致したからだ。彼女はウェールズ出身の母と、母の故郷が嫌いな
イングランド人の父の間に生まれ、二人の娘さんがいる。

ピアノとヴァイオリンをやり、夜と週末はタンゴの教師をしている。
ロンドン・シンフォニエッタの事務局で働いた経験があり、
なんと、5年前までAlbanyに勤めていたらしい。

好きな小説は『マエストロ&マルガリータ』。
こちらも5回くらい読んでいると言って、1時間ほど話し込んだ。
日本語訳されたブルガーコフはほとんど読んでいる。

ヴェルギリウスとダンテ、ペンリー・パーセルが好きだとも
訴えて、プロ・アマ問わず『Dido & Aeneas』生演奏を逃さない
つもりだと伝えた。今後、色々と指南を与えてくれそうだ。

午後はAlbanyで事務。
方々にメールを打ち、入口管理のトムにプリントアウトを
手伝ってもらった。ここはそういう役割分担らしいのだ。

いよいよ家が決まったので、大家さんに渡す資料や、
劇場の資料も印刷。唐さんの台本も印刷してもらう。
印刷待ちの間、トムに21世紀リサイタルの動画を少し観せたら、
唐さんのボクサー姿に爆笑していた。
唐ゼミ☆のみならず、巨大バッタ、唐さん、RSCと蜷川さんが
『リア王』を作った時の眞野さんの映像が自己紹介に役立っている。
(室井先生は"哲学者"だと分かりにくいので、バッタをやった人を強調)

ミミ、エマ、アネッタ、リヴにメールを打って、
打ち合わせや施設往訪の申し入れをする。動かなければ!

夜はまたウィグモアに行って、韓国気鋭のカルテットを聴く。
ショスタコーヴィチを聴いてブルガーコフを思い出した。
グロテスクな笑い、時々メロディアス。

客席はやっと半分埋まっている程度だが、これからの人たちだと思う。
トップからアンサンブルがとても良くて、熱演も激しい。
理想的だ。と、1ヶ月前なら思うところだけれど、迷いが生じている。

イギリスに来て、全体なんかそっちのけでグイグイいく
プレイヤーに魅了されている。痛快で、潔い感じがする。

国鉄に慣れ、地下鉄の乗り換えもより便利な方を選択できるようになった。
スーパーでは、チーズの他にハムも安く、美味しい。
レストランでは、安いピザ屋を見つけた。
生活しやすくなっているが、課題はAlbany内での喰い込みと、
英語の成長実感が乏しいこと。そのうち何とかなるのだろうか。

↓エリザベス先生。今度ギャビンに会ったらこの写真を見せよう
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