5/18(火)狐につままれる
↑私の住む保土ヶ谷区には謎めいた公園がある。そこの草むら。
またしても、ワークショップで取り組んでいる
『海の牙-黒髪海峡篇』に気になってしまうエピソードがありました。
それは、ヒロイン・瀬良皿子(せら さらこ)が、
自らの仕事がうまくいっていないことをこぼすくだり。
彼女はパンマ→パンパンの按摩→つまり娼婦なのですが、
変な客にオーダーされて困っている、そういう話をします。
というのも、電話で呼ばれて待ち合わせの場所に行くと、
声はするのに男は姿を現さない。
そして、その声の出元が移動するというのです。
あまりに照れ屋なのか、引っ込み思案なのか、
それとも単にからかわれているのか、そういうことを愚痴こぼす。
この場面に来ると、私の胸にあるエピソードが去来します。
またしても、前に唐さんに直接聞いた話。
唐さんは中学生の頃、好きな女の子がいたそうです。
中学時代の唐さんといえば、いまだ本名の大靍義英(おおつる よしひで)少年、
これぞ内気の最たるもので、口数の少ない内向的な男子だったそうです。
それなのに、内に想いを秘めた当の相手から、呼び出しがかかった。
勢い込んで唐さんはその場所、校舎裏の原っぱに駆けつける。
「おおつるでございまーす!」
上気した唐さんは、後年、大いなる武器とするテノールで乗り込んだそうです。
が、草ふかいその場所に相手の姿はない。しかし、気配はするそうなのです。
そしてその方向に唐さんが進もうとすると、ササっと何者かが、
草むらから草むらを移動して、何度もトライしたけれどついに追いつかなかった・・・。
そう唐さんはおっしゃっていました。
・・・・・・。
どこまでが現実か分からない話ですが、唐さんの目は真剣でした。
「あれはキツネの仕業だったのではないか」とも。
完全に妄想か、現実だったとしても同級生にからかわれたのではないか、
私にはそんな考えもよぎりましたが、唐さんの夢を壊すようで、
それはついに言い出せませんでした。
だから、きっと瀬良皿子のあのせりふは、作者の実体験なのです。
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