12/7(木)ローエングリンの鳴る床屋

2023年12月 7日 Posted in 中野note
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↑写真集「唐組」より『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』舞台写真
この場面で例の前奏曲がかかっていたと思われます


必要があって『ローエングリン』を聴いています。
ワーグナーの『ローエングリン』。
去年、生まれて初めて実演を観ましたが、それはイースター明けの
4月下旬。なぜ語学学校で出会ったロシア人の女の子と一緒でした。

彼女はオペラというものに一度来てみたかったらしいのです。
こっちは貧乏留学生気分で過ごしていましたが、彼女はエルメスの
バッグなんか持っていたりして、お金持ちそうでした。

『ローエングリン』の話。

自分が初めてあの印象的な前奏曲を聴いたのは、
蜷川さんが三島由紀夫作『弱法師』の最後の長せりふに
あの曲をあてていたからでした。主人公の語り始めに合わせて
あの曲がヒタヒタと流れ始め、最後は大きなうねりになって
空襲の業火を語る描写をいやましに高めました。
実にピタリとハマって感心させたれたものです。

ところが、よくよく様々なことを知るようになると、
蜷川さんが近代能楽集を演出する9年前に劇にこの曲を使って
いる人がいたのです。・・・唐さんです。

唐さんは、初めて紅テントを立てて芝居をした時の演目
『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』の二幕冒頭、

「ここは壮大なワーグナーのローエングリン響く床屋」

というト書きを書いています。あの壮大さをギャグにしているような
でも、床屋の趣味として本気だったような、面白いト書きです。

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