12/19(木)賢治で育ちました

2019年12月19日 Posted in 中野note
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↑これは大人になって買い直したものです。
  小さい頃に買ってもらったテープは、大半を紛失してしまいました。

あれは自分が小学校に上がる前のことと記憶していますが、
母方の叔父さんがこのカセットテープ集をプレゼントしてくれました。
10話入って1万円という高級品を、叔父さんは奮発してくれたのです。

小学生の頃を通じて、これをずいぶん聴いたものです。
読んでいるのは宇野重吉、米倉斉加年、長岡輝子という、
いずれも新劇界の重鎮の皆様です。

『オッペルと象』『どんぐりと山猫』などが入ったこの童話集、
中でも気に入ったのは、宇野さんの読む『狼森と笊森、盗人森』と、
米倉さんの読む『どんぐりと山猫』、長岡さんの読む『祭の晩』でした。

不思議で縄文的なところのある『狼森〜』、
山猫の馬車別当の屈折が印象深い『どんぐり〜』、
怪力の山男が街場の人間にいじめられる『祭の晩』、
それぞれに魅力的でした。

自分が演劇に染まるようになってからは、
それぞれの朗読術が身に染みてわかるようになりました。

と、同時に、
宇野さんは、唐さんの岸田國士戯曲賞受賞に反対した人、
米倉さんは、青年芸術劇場時代の唐さんの先輩、
長岡さんは、渡辺えりさんを舞台の魅力の虜にした人、
という具合に変遷しました。

今でも、折に触れてこれを聴きます。
写真のパッケージは本棚にあり、
現在ではパソコンの中にデータとして収まっているこの朗読集ですが、
ひと度クリックすればあの頃と同じに、
あるいはそれ以上に、自分を魅了してやみません。

さっき試しに聴かせてやりましたが、3歳の息子にはまだ早いようです。

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