「能」に学ぶ
2019年11月 6日 Posted in 中野note
昨晩は「水道のみの男」の話でした。
透明の水が役者と言葉の力で、やがて血の赤に染まる。
これはやっぱり、鈴木忠志さんがいかに「能」の影響下にあったのかということと、
関係があると思う。
なにせ、早稲田小劇場で『少女仮面』が上演される前の公演は『劇的なるものをめぐって』。
直後の公演は、『劇的なるものをめぐってⅡ』。
別役実作品で出発した早稲小のキャリアが現在に通ずる鈴木演出、
すなわち「現代の能」として溢れ出す代表作の最中に、
唐さんとの仕事がある。
何日か前、『少女仮面』と『吸血姫』の比較のくだりで、
両者の構造を「序破急」と書いたけれど、
一幕を三場に割った劇構造はもちろん、「仮面」を主題とすることも、
前作『劇的なる〜』を受けた唐さんの応答に違いない。
唐さんはご自身の中に強烈な世界を持つ方ですが、
同時に、周囲の人や事に鋭く反応し、芸の肥やしとする人でもあります。
そういった面が、よく現れているようにも思います。
ところで、「能」と言えば、今度、講座をやります。
今年は2016年から続けてきた連携講座、
KAAT神奈川芸術劇場×YNU横浜国立大学「芝居の大学」の四年目に当たります。
運営側としては三年を一区切りととらえているので、
今年度からは新シーズン、
「移動型公共劇場はいかにして可能か」をテーマに、
ゲストを呼んで縦横に語り尽くします。
その際、12/14(土)18:30-21:00に、
「錬肉工房」の岡本章さんをお招きします。
世阿弥の再来と言われた観世寿夫さんに衝撃を受け、
鈴木忠志さんとは違った意味で「能」の文法を我がものとした表現を続ける岡本さんに、
ミニマムな舞台の持つ爆発力や豊かさについて伺います。
会場は、横浜市上大岡駅から歩いたところにある久良伎能舞台、
実際の稽古を行う空間で、実地に「能」について語って頂きます。
誰でも参加できます。
興味のある方は、唐ゼミ☆にお問い合わせください。
劇団唐ゼミ☆:070-1467-9274
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