8/14(金)まるで個人を尊重するヨーロッパ人のように

2020年8月14日 Posted in 中野note
IMG_8302.jpeg
↑思案のしどころ、密を避けた立ち稽古のスケジュール組み

昨晩、立ち稽古がスタートしました。
今回は劇団をあげて特殊なやり方をとっていて、
それはやはりCovid-19のためです。

劇団員の熊野と林を中心に思案して、
今回は必要最小限の人を集めて稽古する日程を組みました。
集団シーンは後回し。映像をつくるように、
集まる人に合わせて飛び飛びで場面を当たっていきます。
さらに、その様子は常にzoomで実況中継されていて、
みんながこれを見ている、という具合です。

このご時世では、
トップシーンから順番につくっていく従来の方法は
広い稽古場を確保できる劇団だけに許された贅沢と言えます。

しかし、稽古ができるだけ、芝居ができるだけでありがたい。
そう思い、この方法で立ち稽古初日をスタートさせましたが、
初めての新鮮さもあり、私はむしろ大いにこれを気に入りました。

というのも、
目の前の役者とシーンに集中できるのです。
それでいて集中すべきところの他は、リラックスできる。

例えば、目の前の場面が上手くいかないと稽古場は停滞します。
それは役者にせりふが入り切っていなかったり、
台本の内容を反映して上手く動けなかったり、
私の指示がわかりにくかったりするのが原因なのですが、
稽古場が停滞すると、隅っこの方にたちどころに退屈や睡魔が発生する。
要するに出番を待っている役者が散漫になる。

こうなると最悪で、私はなんだかムカムカするし、
そのムカムカに役者たちは焦り出してよりボロが出るし
ボロが出ると輪をかけて稽古場は停滞。

私の知る限り、個人を尊重するヨーロッパの演出家は
そういうことを避けるために、稽古に詰まると、
難題に直面している役者以外をその場所から出してしまうことがあるらしい。
スタッフも追い出して、役者が目の前の問題にだけ、
周りを気にせず取り組めるようにする。
まあ、これにも潤沢な空間が必要ではありますが。

とは言え、
集団を背負って闘うのが役者の責任や強さとも言えるし、
ムカムカを押さえて人を力ませないのが演出家の度量でもありますが、
今回は和を以って尊しとなす日本型でなく、個を尊重するヨーロッパ方式で、
できる方法を最大限に芝居の質に生かそうと決意しました。

それにしても、実況中継しているzoomの向こうで、
みんながどのように稽古場を覗いているか、気になる。
気になるので、時々は話しかけるようにします。

トラックバックURL:

コメントする

(コメントを表示する際、コメントの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。その時はしばらくお待ちください。)