6/16(金)世の中には美味いナルトもある

2023年6月16日 Posted in 中野note
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↑これがラーメン大至の醤油ラーメンだ!

しばらく会わなかった人に会うと、
イギリス行ってたんだって? うらやましいなあ、と言われます。

去年の研修は、それは素晴らしい体験であったに違いありません。
40代すぎおっさんになってあんな大学生みたいな暮らしが
よく許されたものです。まことにありがたいことだと思わずに
いられません。

が、一方で傷も深くあって、
子どもたちが病気になっても一切の手出しができない状態とか、
明らかに劇団員たちと疎遠になっていく感じとかは、
あんまり気持ちの良いものではありませんでした。

かてて加えて、イギリスならではの見聞きできるものに
全力投球し過ぎたために、食生活ははなはだ貧しいものにならざるを
得ませんでした。物価が高いので1日1食半を旨とし、
晩御飯はフライドチキンやパンで済ませました。
それだって500円ちょっとは確実にかかり、乏しい懐を痛めました。

時にラーメンが食べたくなって
ロンドンでもブームの豚骨ラーメン屋に行くと、
それは日本円にして一杯2,000円以上もしました。

サービス料だってしっかり1割とられるのです。
こうなると、美味しさとは別の意味でスープが残せなくなり、
ラーメンが本来備えていたはずの気楽さが全く無くなってしまいました。
確かに美味しいけれど、どこか苦いのです。

また、醤油ラーメンは壊滅的でした。
醤油を放り込んだお湯にダマになった麺が沈んでいる。
そういう感じなのです。これは二度ほど失敗して、
以後はオーダーするのを一切やめました。

反動で、日本に帰ってきてから以前より醤油ラーメンをよく
食べるようになりました。特に好んでいるのが、湯島にある
ラーメン大至という店です。ここは東京ラーメンの究極を追求しており、
普通のラーメンを普通ではないレベルでつくるという意味において
突出しています。

感動的なのはナルトで、これまでノスタルジーこそあれ
決して美味しいと思ったことのなかったあのナルトが
(業者の皆さん、ごめんなさい)、ここのだけは美味いのです。

ロンドンにいた時にネットで発見し、
帰国してから劇団員と行ってみて気に入ったこの店に、
すでに4回行きました。個性に圧倒される体験も大切ですが、
研ぎ澄まされた普通の中に凄みを感じるという体験も、また感動的です。
ここのナルトには、東京ラーメンの必需品に込めたお店の人の
意地と気高さが宿っています。

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