12/15(水)とがったものは苦手
2021年12月16日 Posted in 中野note
あの建物は確かに公立の小学校なのですが、
さまざまな意匠がこらされていて、見る者を愉しませてくれます。
アール・デコ調で、掃除をしながらウロウロしていると、
とにかくあらゆるところが丸みを帯びているのを体感できます。
この坂本小に限らず、周辺の小学校の中には、
関東大震災後に建てられたものが多くあるのだそうです。
さまざまな建物が倒壊、そして火災に見舞われた直後に建てられたので、
まず第一に頑強。そして、燃えにくい鉄筋で建てられている。
関東大震災が1923年ですから、約100年経っても
こうして中に立ち入ることができるのは、そのような理由です。
その上に、色々と装飾的な工夫がある。
太平洋戦争というと、私たちには貧しさの印象がありますが、
その手前、大正〜昭和ひと桁にかけて、けっこう世の中が豊かだった。
そういうことがわかる建物です。
至るところにアール・デコの丸みがあって、
当時の余裕を感じると同時に、これはわんぱく盛りの小学生たちへの配慮で
あったかも知れない、とも思います。
そういえば、唐さんはとがったものが苦手です。
横浜国大のゼミナール時代に舞台稽古をしていた時も、
とがったものは避けるよう、言われました。
ご存知のように、唐十郎戯曲には切った張ったがあります。
事故が起きないよう、唐さんは常に緊張しているのだと思いますが、
あのとがったものに対する敏感さは、生来のものかも知れません。
数多くの武勇伝がある一方、危険への配慮は極めて繊細です。
まる、まる、まる。職人技オンパレードの、この坂本小学校。
少年時代の唐さんにとってさぞ居心地よかっただろうな、と思います。
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