4/17(金)初めての青テント公演で③

2020年4月18日 Posted in 中野note
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↑その日のカーテンコール。一旦、客席に入ったからか、
大久保さんは履き物を履いていないことに、これを見て気付きました。

一昨日の続きです。

『ジョン・シルバー』再演時の2日目、
大久保鷹さんに唐ゼミ☆の舞台に登場してもらった話です。

あのようにして何とか1幕をやりおおせました。
上演時間は大幅に延びつつありましたが、
ステージはいきおい華やぎました。
即興の面白さがありすぎるほどあり、
この魅力はそれまでの唐ゼミ☆には無かったことでした。

そして2幕。
場面は海の見える床屋です。床屋の店主が見守る中、
常連客である紳士を小春が訪ねている場面から後半がスタートします。

大久保さんといえば、初期の唐作品における「床屋」が当たり役。
唐さんがレコード化した発禁歌謡『愛の床屋』にも鷹さんバージョンが
あるほどです。そこで、「床屋さんの先輩の床屋さん」という役で、
2幕冒頭にいきなり登場して、歌ってもらうことにしました。

しかし、ここでもニヤニヤと登場した大久保さんはなかなか歌い出さない。
土方巽さん直伝なのでしょうか、
それこそ「舞踏」のような動きに「ワァオ!」「ワァオ!」といった
謎の歓喜の声を繰り返して、ひたすら小道具のカミソリを研ぎ続けました。

ずっと「ワァオ!」しか言わないんですが、
身振りで、唐ゼミ☆の床屋役の渡辺くんにも「ワァオ!」と言えと指示します。
この辺りは実に「先輩」と「後輩」で、
「こうやってやるんだ!」とばかりに鷹さんが「ワァオ!」。
つられて渡辺くんも「ワァオ!」。
初めはおずおずとしていた渡辺くんも、だんだん堂々と「ワァオ!」。

このやり取りが大いにウケて、一通り客席も温まったところで、
ようやく鷹バージョンの『愛の床屋』を披露して、引っ込んでいかれました。
これは、いかにも先輩が実施に手ほどきをしてくれている温かさもあり、
とにかく面白かったですね。

そうそう、一昨日書き忘れましたが、
例の1幕のカゴかきのシーンでは、
本番中に舞台上でギャラ(薄謝)を渡す、というギャグもやってみて、
これも大いにウケたことを昨晩に思い出しました。

色々やりましたが、大久保さんには、舞台本番の遊び方と、
特に1幕が顕著だったのですが、大いに遊んだ後の舞台の引き締め方を
伝授されたように思います。

これは、ちょっと大衆演劇的なやり方でもあるのですが、
真面目にやる→崩してふざける→より真面目にやる→さらに茶化す
→もっと大真面目にやる
というのを自在に操れるようになると、
生身の役者のドキュメントと登場人物の背負っている物語が
同時に並走して、ナマで観る舞台の醍醐味を味わえますね。

あの徹底した遊び方と行き過ぎた真剣さのバランス。
胸を借りるというのは、ああいうことを言うように思いました。

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