11/5(金)子どもの頃にみた舞台②

2021年11月 5日 Posted in 中野note
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昨日のテツヤさんとの配信番組を通じて、
子どもの頃にみた舞台を思い出しました。
名古屋の教員だった母が入会した「おやこ劇場」。
母親に連れられて多くの舞台に接したはずですが、覚えているのは二つ。

劇団うりんこの『ファウスト』とマルセ太郎の『泥の河』。
とりわけマルセさんの舞台は突出していました。

原作は宮本輝さんで、映画化したのは小栗康平監督。
けれど、そういう背景を私は後から知りました。
演じたのが「マルセ太郎」であることすら、当時はわかろうはずもなく。

確か、前段でマルセさんは少しお話しをされました。
何か芸をしろと言われて、咄嗟に「ツバメ」の模写をしたと云う話。
それが、ご自身の芸人として原点を語ったものかどうかは
覚えていませんが、片足立ちにピンと四肢を伸ばしてツバメの形を
マルセさんがつくったこと。それが客席にウケて、
会場がほぐれていった様子を記憶しています。

それから、いつの間にか「スクリーンのない映画館」に
入ってゆき『泥の河』の世界に。

主人公は食堂を営む一家の息子。
ある日、転校生がやってきて友人になります。

そこから一気に私の記憶は飛んで、お祭りの日の描写になる。
主人公のお母さんから二人分の小遣いをもらった少年たちが
勢いこんでお祭りに出かける。
が、いざ夜店の前に立つとポケットは空っぽ。
友だちに預けたはずの小遣いは、彼のズボンのポケットに空いた穴から
こぼれて落ちてしまっていました。

バツの悪さに、友だちはサワガニに火をつける遊びを主人公に披露します。
火をつけるとキレイな炎をあげながらカニは死ぬ。
必死に主人公に罪滅ぼししようとする友だち。
それから、友だちに連れられて彼の住まいである船に連れられて行くと、
商売を終えたばかりの友達のお母さんを主人公は見てしまう。

マルセさんは、映画を観ながらご自身がいかにこのシーンを恐れたか、
観客に語りました。寝乱れた女性が出てくるのを想像して、
どうにも耐えがたかった。。そんな描写は頼むからやめてくれと思った。
そう言われました。

でも、友だちのお母さんは凜として、髪に乱れひとつ無かった、と。
そのお母さん役は、加賀まりこという女優さんが演じたと、
教えてくれました。
翌日、すでに件の河に友だちの暮らす船は無く、
どこかへ行ってしまったというエンディングが披露されて、
マルセさんのひとり舞台は幕を閉じました。

細かな設定はよくは分からなかったけれど、
世の中には様々な境遇があって、人がしくじってしまった時のバツの悪さや
見てはならないものを見てしまった時の気後れが自分にも刻み込まれ、
だいぶ落ち込んだり、心を傷つけられたように思います。
だけど、圧倒的な吸引力で自分はあの舞台を観てしまった。
そんな思い出です。

・・・今日はあえて、裏を取らずに記憶だけで書いてみました。
原作や映画に当たれば、自分の記述の中に簡単に
誤りが見出されるようにも思います。
でも、当時10歳に満たなかった自分はこんな風に受け取りました。

人間には、無意識に記憶を改竄するクセもあります。
あるいは上記の描写も、後から補正されたものかもしれません。
が、まあ、とにかく。サワガニのくだりの痛々しさを、
30年以上経った今も自分ははっきりと覚えています。

気になって、YouTubeに「マルセ太郎」で検索してみましたが、
『泥の河』の動画はヒットせず、ちょっと安心しました。
DVDとか手に入ったら絶対に観てしまうだろうけれど、
小学校低学年の記憶のまま取っておきたい願望も強くあります。

テツヤさんからの宿題は「子ども向けの舞台を構想してみないか?」
『泥の河』に震撼してすっかりおじさんになった自分は、
これから何をつくったら良いか、一旦、迷子になっています。

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