1/20(木)新井高子さんを祝う!
2022年1月20日 Posted in 中野note
↑禿と、新井高子さんを囲んで。
昨晩、新井高子さんの出版お祝いをささやかに行いました。
『唐十郎のせりふ 二〇〇〇年代戯曲をひらく』
とにかく気付きや教わることの多い本です。
私たちが唐さんと深く関わりはじめたのが2000年頃、
新井さんが唐さんの芝居に向けて文章を書き始めたのが2004年、
時期が重なっているために、唐組や新宿梁山泊の公演を中心に、
私たちは同じ舞台を観て、台本を読んできました。
『糸女郎』『泥人形』『鉛の兵隊』『津波』『行商人ネモ』
『風のほこり』『夕坂童子』『紙芝居の絵の町で』
『黒手帳にほお紅を』『透明人間』『ジャガーの眼』
『姉とおとうと』・・・などなど。
あんな演目があった。こんな場面があった。
あそこにあんな秀逸なせりふがあった。
あの時に唐さんはこんな面白いことを言った。
そういう話題で、延々話し込みました。
私たちはフリークですから、こうなるともう時間が経つのを忘れます。
唐さんは創作と日常の境目がない人ですから、普段だって、
さすが唐十郎だなあと周囲を唸らせるコメントが目白押し。
新井さんと話していて、ある一コマを思い出しました。
あれは、扇田昭彦さんが『唐十郎の劇世界』で受賞をされた際、
お祝いの二次会での出来事です。実に豪華面々が集まりました。
その中には緑魔子さんもいて、唐さんのリクエストに応えて
『盲導犬』の一節、『銀杏(いちょう)の唄』をうたったのです。
それはもう、一瞬にして1973年に上演された
アートシアター新宿文化の世界でした。
あっという間に世界が拡がり、場を飲み込んでゆく。
誰もが唸り聴き惚れましたが、その歌いおわり、
唐さんが応えて放った掛け声が「純文学!」
新井さんにとって、とても印象深い掛け声だったそうです。
言われて私も完全に思い出しました。
こういう言葉のチョイスこそ、さすが唐さんであると思います。
そういう瞬間々々もどこかに保存したい。
かくも傑作なことばを唐さんが生み出しだのだと残しておきたい。
そう思って始めたこのゼミログですが、自分が忘れてしまっている
お宝がまだまだあるのだと希望を持ちました。
新井高子さんの本、まだ読んでいない方はぜひ!
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