9/28(月)台風の記憶③〜2007年7月『鐵假面』池袋公演

2020年9月29日 Posted in 中野note
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台風シリーズ③は、唐ゼミ☆公演の記憶から。
2007年に池袋西口公園で行った『鐵假面』は、
私たちが初めて都心中の都心に躍り出た公演でした。

今回の『唐版 風の又三郎』公演のチラシの隅をよく見てください。
唐ゼミ☆ならではの役職「公演場所世話役」に
私の友人である関口忠相の名がクレジットされています。
今回お話しする池袋公演こそは、彼と初めてした共同作業でした。

実際にへ現地入りしてみると、
池袋西口公園という会場は実にシビれる場所で、
それこそ24時間、気を抜く暇がありませんでした。
何しろ、実にバラエティに富んだ面々があの公園を絶えず行き来する。

作業や稽古をしていれば頻繁に声をかけられ、
さらにキャラクターによっては「テントが邪魔だ!」とケンカも売られる。
直前に横浜国大で行った内容をパワーアップさせ、
池袋公演バージョンのエンディングを完成させることに躍起になっていた
私たちは、周囲とのやり取りにも揉まれてヘトヘトになっていました。

そこへ、7月にしては妙に強力な台風4号「マンニィ」がやってきたのです。
公演日は7.13(金)〜16(祝月)。ようやく初日を乗り越える頃に、
「マンニィ」はどんどん関東に近づいて来る。
そして、15日(日)に最接近の時を迎えました。

初日の終演後、唐さんは「次は楽日に来るね」と言って帰られたんですが、
15日は早朝から、テント番をしていた私に電話をかけてきて、
「大丈夫かあ!」と興奮気味。その時点でテント演劇40年の唐さんは、
風がちょっと強ければ、その音で本能的に目が醒めてしまうそうなのです。
そして、「オレがそっちに行ってやるからな!」と力強くおっしゃる。

実は「マンニィ」。結局は東京への威力は大したものではなく、
結果的に青テントもダメージを受けなかったんですが、
昼頃、テントの外を見渡せば、長靴にレインコートを翻した
完全防備の唐さんが宣言通り、のしのしとやってきました。
明らかに「陣頭指揮を取るのはオレだ!」と言わんばかりの気迫。

しかし結局、先ほど書いたように被害は大したことなく、
唐さんは周辺の喫茶店で長時間を潰し、せっかくだからと
その日も芝居を観てくださいました。

それにしても、唐さんはちょっと不満そうでした。
これから天気が荒れて面白くなる、そうなればオレの出番だ!
明らかに朝の時点でそう思っていたフシがある。

あの時、池袋駅から一直線にテントにやってきた唐さんこそが、
嵐そのもののようでありました。

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