6/26(金)"淫腐"を追いかけてみた結果

2020年6月27日 Posted in ワークショップ Posted in 中野note
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『唐版 風の又三郎』には"三腐人"というキャラクターたちが登場します。
これ、初見で読み方が分かる人はまずいないでしょう。
高校時代に初めて読んだ時、私はこれが人であるかどうかさえ
理解できませんでした。悪い妖精か何かかと思った記憶があります。

「三腐人(さんぷじん)」と読みます。
乱腐(らんぷ)珍腐(ちんぷ)淫腐(いんぷ)という三人の探偵を
まとめてこう云います。
やっぱり悪い精霊か何かのような名前ですが、
もちろん本名ではないでしょう。
彼らが誇り高い自衛官をクビになって、しがない探偵をやっている。
探偵といえばまだ聞こえが良いが、要するに興信所員。
浮気調査なんか繰り返しやってすっかり人間が腐ってしまった。
この名前には、そういう意味も込められているのだと思います。

で、昨日のワークショップでは、このうちの"淫腐(いんぷ)"に
注目しました。普段の稽古であまりこういうことはしないのですが、
ワークショップというのは私にとっても貴重な実験の場です。
お客さんがいるからできる、真剣な遊びとも云えます。

やってみて判ったんですが、やっぱり"淫腐(いんぷ)"は相当ひどい。
三腐人の所業は劇の全編を通じてかなり乱脈なのですが、
3番目の彼はいっそうその性向が抜きん出ています。

1幕で設定した"三腐人は男色"というキャラクター設定が
終幕の頃には完全に崩壊していく。
実際、すべてがご愛嬌で許されてしまう実にズルい展開なのですが、
唐さんが悪びれもせずにこれを書いている姿が目に浮かび、
笑えてきます。

そのようなわけで、昨晩は私もとっても面白かったんですが、
内容的にはかなり3枚目でした。すると2枚目が恋しくなります。
ユーモアや悪ふざけも大好きですが、
来週は硬派で、カッコ良くて、美しい、
これぞ直球勝負、正統派という内容のワークショップを展開します。

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