4/13(月)ある日の現場検証 その②

2020年4月14日 Posted in 中野note
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昨日の続きです。

『腰巻お仙 百個の恥丘』上演時に目をつけた場所こそ、
箱根山と戸山ハイツに囲まれた窪地、
『腰巻お仙 忘却篇』の会場となったこの土地でした。

本番時は通行中の人々にタダ見されないよう、
窪地であるのを利用してムシロで壁面をつくり、
劇場空間の外部と内部を分けたそうです。

勝手に住宅街に乗り込みつつも、
興行についてかなりシビアな感覚を持っているのがいかにも唐さんであり
強く打たれましたが、残念ながら観客は20人くらいだったそうです。

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写真は、麿さんがいかにスピーディーにリアカーで駈け降りたかを
大久保さんに熱っぽく再現してもらっている様子です。

この時の麿さんは、異様なまでの高さの白い帽子、
医者にして犬殺しという設定でした。役名は「ドクター袋小路」。
リアカーの荷台には、ドクターに狩られた犬という設定で、
鼻の頭を黒く塗った唐さんが仰向けに倒れていたそうです。

さらに、ここが重要と言って教えて下さったこの場所。
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大久保さんがかなり執拗にこの階段の脇の一角に拘るのは、
かつてはここで、かの土方巽さんと澁澤龍彦さんが
並んで座って観劇していたからなんだそうです。

私にも経験がありますが、
夜の野外劇というのは暖かな季節でも肌寒さを感じますので、
お二人は一升瓶を手に、チビリチビリやりながら
ご覧になっていたそうです。
銘柄はおそらく「剣菱」。『こち亀』の両さんも好きなあのお酒です。

それにしても、
よくもまあ、このような住宅街に芝居を仕掛けたものだと感心します。
警察に通報されて揉めるのも、当然といえば当然。
まさにご愛敬、芝居の一部というところでしょう。
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と、このように2時間半程度のレクチャーと散策をしました。

密閉空間の危険性がとみに叫ばれる昨今、
このようにして私たちは外の空気を吸いながら、
今日の芝居がいかにあるべきかを真剣に考え、試行錯誤しています。


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