5/28(金)もはや天草四郎しか出てこない

2021年5月28日 Posted in 中野note
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堀切直人さんの本の表紙にもなった、この場面です。

先日、打ち合わせをするために若葉町ウォーフに向かったところ、
シネマ ジャック&ベティの前でばったりとお世話になってきた方に
会いました。聞けば、定年退職後の悠々自適につき、
『戦場のメリークリスマス』をご覧になったとのこと。

すごく羨ましく思いました。

『戦場のメリークリスマス』といえば、
一定年齢以上の人なら誰もが知る音楽、誰もが知るラストシーン。
大変なメジャー作品ですが、考えてみれば、観るのはいつも
DVDかYouTube、金曜ロードショーと相場が決まっていました。

あの終幕、ビートたけしのジャガイモのような笑顔を大画面・大音響で
観たら、さぞ良いだろうと想像しました。

だいたい、映画館で映画を最後に観てから、
すでにかなりの時間が経っています。
それは『いつくしみふかき』というとても良い映画でしたが、
あれは去年に『唐版 風の又三郎』を稽古していた時のこと。
つまり、今年に入ってまだ一度も映画館に行っていないのです。
かつては、週に3日は映画館に行っていた時もあったというのに。

それが現在では、DVDすら観なくなっている。

そんな風に急に渇望して、せめて雰囲気だけでも味わおうと、
仕事で日本の近代史を確認する必要もあったので、
久々に岡本喜八監督版の『日本の一番長い日』を見直しました。
これはもう、20年ぶりくらいの再開です。

大人になってみると、
硬直した閣僚たちの鍔迫り合いが実によくわかって、
当然ながら学生時代より面白く観ました。
社会生活においては"立場"で人が動かざるを得ないことが、
実感としてあるのです。

しかし、最後の最後、エンドクレジットが流れた時、
その音楽を聴いてひっくり返りました。

この曲は、2003年に初演された唐組の名作『泥人魚』で
使われていた曲ではないですか。
しかも、それまでボケ老人役だった唐さんが、
天草四郎に扮して登場するというシーン。

こうなると、すでに近代日本の重大事は吹き飛び、
唐さんの嬉々とした笑顔が浮かぶのみでした。

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