9/3(木)まるで海原雄山のように

2021年9月 3日 Posted in 中野note
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小学校の頃、「親」という漢字を習いましたね。
当時の先生は私たちにこう説明しました。
「木の上に立って子どもを見守る、これが親なんだ」

そんなものかなと思って話半分に聴いていましたが、
最近はだんだんこの気持ちがわかるようになりました。

一緒に散歩に出かけると、
こちらはわざと物陰に隠れたりして、
子どもがどう振る舞うか見たりします。
もちろん、車や自転車が接近すれば駈けて行って手を引くわけですが、
自分でどの程度行動できるようになったか見てみたい。
そういうことを、子を持つ親なら誰しもするはずです。


私の知る限り、こういう存在の最上級形は、
かの名作マンガ『美味しんぼ』に出てくる海原雄山に他なりません。
私は小学生の時分にアニメを通じてあの作品に入門したクチですが、
あの邪悪ともとれる高笑いの裏に、息子への行き過ぎた愛情を
嗅ぎ取るのに時間はかかりませんでした。

息子・山岡士郎が行く飲食店という飲食店に、父・雄山は現れる。
しかも東京だけではなく、出張先にまで。
和食屋のカウンターで主人公たちが舌鼓を打っていると、
奥の座敷のふすまがカラリと開いて、例の高笑い。
まるで士郎にGPSが付いているのかと思えるほどの探知能力です。

目下取り組んでいる『唐版 風の又三郎』には、
似たようなキャラクターが登場します。この人を「宮沢先生」という。
要は精神科医なのですが、これが患者に愛情を注ぎすぎるのです。
一時退院させた青年を溺愛するあまり、
わざわざ変装をして街に出た彼に接近し、
一人前になるため恋愛をするべし、と諭したりする。

毎日接していた相手に見破られぬ変装や声色の変化が
どれほどのものであるべきか、そんな話をしながら、
今日は宮沢先生と青年・織部のファーストシーンを稽古しました。

もちろん。稽古終わりには恒例となった佐々木あかりのパートも練習。
とにかく毎日やらないと。

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