8/9(月)ワークショップレポート(禿)
2021年8月 9日 Posted in 中野WS『ジョン・シルバー(続)』
【唐十郎戯曲を読むWS】
公演本番中の佐々木に代わって、臨時アシスタント禿からレポートします。
今日は『ジョン・シルバー(続)』に入って2回目。
前回は、話の前段として『ジョン・シルバー』の理解を深め、
いよいよ本格的に本編に突入しました。
1969年、状況劇場初演時、
東京⇄京都を往復したり
新宿ピット・インで深夜0時30分に公演したエピソードなど、
当時の勢いを想像するだにワクワクします。
作品の根底にあるイメージとして
ラシーヌの戯曲『フェードル』を原作とした映画、
『Phaedra(邦題:死んでもいい)』があります。
青年が義理の母との許されざる恋をして、
バッハの音楽をかけながら海沿いを車をすっ飛ばし、
叫びながら海に突っ込んで死んでしまうという悲劇です。
これは、先日、中野がゼミログにも書いた、
私たちが初めて取り組んだ唐作品
『腰巻お仙 義理人情いろはにほへと篇』にも関係していますが
この作品では、より直接的に使われています。
(当時ずっと探していたのですがレンタルVHSでも見つからず、
ずいぶん後になってネットで見つけ、字幕なくても感動しました。)
バッハの曲もさることながら
ミキス・テオドラキス作曲のテーマソングがかっこいい。
後に『吸血姫』の劇中歌にも変貌します。
ぜひ聴いてみてください。
さて、内容に関して
前段の『ジョン・シルバー』からぐっと内容が具体的で大人になり、
実生活に入っていきます。
『ジョン・シルバー』では勝気で不気味に登場した海の男・紳士が、
一変、喫茶店のボーイとして
不平不満を溜め込む抑圧された男として登場します。
・客によって態度を変える。(客も客だけど・・)
・アルバイトの少女にも自分の切ない過去を聞かせたり、セクハラまがいなことをする。
なんだか無茶苦茶な男のようですが、
というのも、やっと手に入れた愛すべき小春が、
昔の男シルバーを相も変わらず想っていて、しかもそれを叱咤できず、
紳士の描いていた理想的夫婦生活とはかけ離れて抑圧され続けている。
という状況を理解すると、情けないような可哀想なような、同情的な気持ちになります。
一方、こそこそと紳士に唾をつけられている少女「みのみ」も、
( ↑ 妹といえばみのみ。『ガラスの少尉』でも登場!)
『人魚姫』の話をせがむ少女性からスタートしながらも
蓋を開けてみれば複雑な過去を持っていて、やんわりと死を匂わせます。
突き詰めれば苦しくなるエピソードばかりではありますが
ブガルーダンスやグループサウンズなど当時のはやりを含め、
「ムーン・リバー」「スカッチピンドン」など音楽がたくさん登場し、
コミカルで楽しいテイストで進行していきます。
このあと、あの町内会バンド「ヤング・ホルモンズ」も登場しますからね!
(実にバカバカしく愛らしいシーン!)
今日は、話を読んでいると突如現れて不思議に感じる言葉、
「銀ヤンマ」を
あるときは「空襲」のイメージ、ある時は「シルバー」と繋げるなど、
イメージを具体的に皆さんと共有することができました。
また次回以降、展開をお楽しみに〜〜〜。
禿
【お知らせ】
来週は15日(日)→16日(月)に振替です。
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