10/21(月)『少女都市からの呼び声』本読みWS 第1回 その①
↑右文書院さんのおかげで、長らく活字で読むことが難しかった
『少女都市からの呼び声』に、2008年からは気軽にアプローチ
できるようになりました
昨晩は本読みワークショップ。
『少女都市』に続く『少女都市からの呼び声』の第1回でした。
恒例の年表紹介からスタートして、唐さんが執筆に至った経緯から
皆さんに説明していきます
「オテナの塔」もの、という観点から見ると、次の事柄を年代順に
押さえておくと経緯がよくわかり、作品の内容もよく理解できます。
1965年2月『煉夢術』@六本木・俳優座劇場
1969年12月『少女都市』初演@渋谷 金王八幡宮
1984年?月『少女都市からの呼び声』@状況劇場稽古場公演
1985年11月『少女都市からの呼び声』@新宿スペース・デン
いずれも、戦後に人気を博したNHKラジオ「新諸国物語」
の一編『オテナの塔』をもとに唐さんがイメージを膨らませ、
主人公が夢の世界で行き着く塔のそびえ立つ街を舞台にした
作品群です。唐さんの中で塔とは下町の長屋を横から見たもの
であり、水平に世帯が連なる長屋を垂直に立たせると塔になる
わけです。塔にあるはずの雪子の住む部屋が、敷布団・四畳半・
障子・ちゃぶ台で構成されているのは、そのような理由があるからです。
唐十郎史的に重要なのが、1972年春公演『二都物語』から始まった
根津甚八さん・小林薫さんを中心とした劇づくりが1980年春の
『女シラノ』を以って終わり、次なるフェーズに状況劇場が入る中で
1980年台半ばに唐さんがものにした傑作に『少女都市からの呼び声』
が位置づけられることです。すなわち、金守珍さん、六平直政さん、
黒沼弘巳さん、佐野史郎さんらの台頭による成果。
これが、1985年の状況劇場『ジャガーの眼』、劇団第七病棟
『ビニールの城』にもつながっていくわけです。
と同時に、特に『少女都市からの呼び声』と『ジャガーの眼』に
状況劇場のプリマであった李礼仙さんが出演していないことも
注目に値します。唐さんをはじめとした劇団としては、李さんの
不在は苦境であったと思われますが、結果的にこれが、
田中容子さんのヒロイン・デビューのきっかけになります。
田中容子さんの活躍は『ジャガーの眼』初演映像がYouTubeでも
見られますので、そこから前年に演じた雪子を想像することが
できます。
活字化されたテキストとしては、
文芸誌『海燕1985年2月号(福武書店)』1985.2.1刊行
『唐十郎コレクション3(右文書院)』2008.11.1刊行
『唐十郎Ⅰ 少女仮面/唐版 風の又三郎/少女都市からの呼び声
(ハヤカワ演劇文庫)』2019.2.15刊行
の3種で読むことができます。
後半2種は新品で手に入りますので、気軽に読むことができます。
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