11/11(月)『少女都市からの呼び声』本読みWS 第4回 その①

2024年11月11日 Posted in 中野WS『少女都市からの呼び声』
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↑よく見るとマグロの頭。これをサメと言い張るところの背伸び感が健気

『少女都市からの呼び声』の本読み第4回。
こんかいは日曜が立て込んでしまったので月曜日に実施しました。
それにも関わらず参加してくださった皆さんに感謝。
そして、欠席せざるを得なかった方のためにレポートします。

今回の要所は、ひたすら「指切り」の場面をどうクリアするかに
かかっています。メスで兄の指を3本切り落とす少女の姿は、
普通に考えたら、怖い。けれど、雪子には雪子なりの理由があり、
指切りを受ける兄・田口にもそれなりの覚悟があるわけです。
そこをきっちり押さえると、指切りというトンデモ行動が腑に落ちる
ものに変わってきます。

まず、昨日に読んだ7場で重要なのは、町の女たちの会話です。
彼女たちは食っていくための生活にも、夫婦関係にもくたびれている。
いわば「生活」に疲れた世帯くささを徹底して体現する存在です。
彼女らをきっちり描くと、フランケ&雪子が避け、遠ざかろうとして
いる世界がクッキリと提示できます。

続いてフランケの食事シーン。
マグロの頭を「サメ」と言い、「アルカイオ星を食ったばかり」とか
「(前回の食事は)10万光年前」などと雪子とフランケがうそぶく。
これらは全て「生活臭」から逃れるための大言壮語です。
二人が健気に抽象的な存在であろうとする努力は、なかなか
泣かせます。

直後のシーンで雪子は、かつて自分が失った3本指を怖れます。
現在の自分は、フランケとともに「ガラス化」「永遠の美」
「老いることのない永遠の生」を目指しています。
だから、指=肉が再び自分に舞い戻るのを怖れます。
肉とは、時に朽ち、臭気を放つものだからです。

一方で、雪子にはふと「指」が美しく見えます。
スウェーデンの城に降る雪のように。

ガラス化の方向に突き進めば、それは反「肉」を意味します。
けれど、雪子には指が美しく見える瞬間もあるのです。
つまり、内心は「肉」を持って現実と渡り合いたいと思っている
ということです。

ここから先、雪子は、ガラス化=フランケの幻想路線、
肉化=兄・田口との現実路線の両極が葛藤して揺れます。
その揺れ方がこの作品に重要なドラマを生んでいます。

・・・長くなったので、続きは明日!

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