10/18(金)『太平記』の音楽

2024年10月18日 Posted in 中野note
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↑内容は耽美的でもありますが、ジャケットはバブリー

最近、大河ドラマ『太平記』の音楽を聴いています。
先日、明治大学で行われている唐組を観に行った時、
行きがけに寄ったティスクユニオンで安く売っているのを発見しました。

ずっと欲しかったのですが、90年代初頭の発売ですからすでに
中古しかなく、しかも高価なのです。それがやっと手に入りました。
小学校の頃はずっと大河ドラマを観ていましたが、『太平記』が
もっとも好きでした。特に第一話。若き日の足利高氏が
満座の席の闘犬の場に引き出され、乱暴な犬を相手に散々に
打ち据えられて引き上げる場面の屈辱感。

小学生ながらに、青春とはこういうものだと直感しました。
挫折とか蹉跌とかいう言葉を知るのはもっと後のことですが、
今をときめく真田広之さんが何とも言えず気づまりで。
思うに任せない様子は切なさに満ちていました。

後に唐さんの友人であり、総合プロディースをされた高橋康夫さんに
お目にかかった時には、その時の感動を何度もお伝えしたものです。
作曲は三枝成彰さんですが、弟の三枝建起さんには横浜国大で
映像制作講座を教えて頂き、たいへん良くして頂きました。

建起さんに「お兄さんが大河ドラマのために書かれた曲が好きなん
です」とお伝えすると、「『花の乱』もいいよね」と仰っていました。
思えば、両方とも日本の中世、室町幕府時代を描いたものです。

網野善彦さんが展開されたこの時代は悪党が跋扈し、
人間のすぐそばに鬼や天狗がいて、異世界が広がっている。
そういう感じがします。三枝成彰さんの作曲はそういった世相を
和楽器によって表現しながら、燎原の火のように広がる反鎌倉幕府の
蜂起を、後に続く観応の擾乱の地で血を洗う果てしなさと混沌を
如実に感じさせます。

おっとりした日本人が、トゥキュディデス『戦史』や司馬遷『史記』
の容赦の無さ、仁義なき闘いぶりに最も接近したのが観応の擾乱の
激しさだったと自分は考えます。そういうわけで、『戦史』を読み、
『太平記』CDを聴くのです。荒ぶっています。

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