7/10(金)よみがえれ洋一

↑2010年秋の唐ゼミ⭐︎公演より。撮影は伏見行介。
「洋一」役の土岐泰章くんが軽やかによみがえり、「文ちゃん」を
演じてくれた水野香苗さんが、まさにありったけの笑顔で笑っています。

明日、『下谷万年町物語』第三幕を読みます。
先週土日の2回でひと通り最後まで行きましたので、
要所を皆さんと復習して、それから劇中歌も確認して、
さらに、ここだ!というところでは音楽もかけてみたい。
そうしたウォーミングアップを経て、ぜんたいの通し読みをするつもりです。

それにしても、第三幕を改めて眺めてみると、
この劇の主人公たちがつくるサフラン座という劇団はかなり悲惨です。
何しろ、情熱と希望に燃えて結成するも、たった一回の公演も成立せずに
すれ違いを起こし、バラバラになっていく過程が第三幕なのです。

文字にも、歴史にも残らず、夢見られては消えていった劇団。
小さい頃にその劇団に参加した少年がずっとそれを忘れられずにいて、
大人になってから、何とかサフラン座を復活させようとする。
実に良い話なのです。

物語の終盤、こんなト書きがあります。

ザバッと池の真ん中から、洋ちゃんを肩にした、お瓢が立ち上る。

「洋ちゃん」つまり「白井」に殺されてしまった「洋一」は
生きているのか。これが、私にとっては大問題です。
私にとっては、「洋一」は軽やかに生きて、よみがえっていて、
せりふは指定されていないけれど、「お飄」と一緒に少年「文ちゃん」
に呼びかけるくらいであって欲しい、と願わずにいられません。

そこはもう、苦さも苦しさもまったくない、
混じりっけなしのハッピーエンドでいいじゃないか。
そうでないと、少年「文ちゃん」が大人になって、やってられないじゃないか。
と、エキサイトさせるのが、この『下谷万年町物語』なのです。

明日、泣いてしまうかもな。
そう思いながら準備し、皆さんとの通し本読みに臨みます。
どれか一本を選べと言われたら、やっぱり、いちばん好きな台本です。