6/29(月)『ガラスの少尉』本読みWS 第2回

↑新宿西口の換気塔。1966年に建てられたそうです。

『ガラスの少尉』オンライン本読み、エンジンがかかってきています。

当初、この物語はエメロン・シャンプーCMのパロディから始まりました。
インタビュアーの男性が後ろ姿の女の人に声をかける。あのCMです。

声をかけられたのは、ガラス工場で働く少女「ミノミ」。
一方、インタビュアーの男はCM業界で働くのをやめ、
レコード会社のマネージャーとなりました。

ここから、二人の追いかけっこが始まります。

往来や喫茶店、ある時は職場である工場にも、
「ミノミ」が行くところには「男」が付いて回るのです。
その際、「男」は自分の手がけたレコード『ギヤマンの星』を
持ってまわり、この劇全体の主題歌を聴かせます。
他方、「ミノミ」の周りには、ガラス工場でからだに付着した
ガラスの粉が、音を立て始めます。

当然、「ミノミ」は、常に自分を追いかけてくる「男」を不気味がります。
が、「男」は、自分の行き先にいつも「ミノミ」が現われる、
と訴えます。それはどうやら責任逃れや言い訳でなく、本当らしいのです。

実は、「男」にはトラウマがありました。
戦時中に「少尉」としてインドネシアのジャカルタに赴任していた際、
飛行場から戦闘機の風防ガラスの破片の盗んで逃げた現地の少女を、
ピストルで殺めてしまっていたのです。

以来、「少女」と「ガラス」とは、彼の心の傷になりました。
「ミノミ」からすれば、自分に付きまとう気持ちの悪い「男」。
「男」からすれば、「ミノミ」はあの日の少女に重なります。

「男」の告白を経てふたりはそれなりに打ち解け、
新宿駅西口に突き出た2本の円筒形の建造物を覗いてみます。
この『ガラスの少尉』全体がジェット旅客機の内部を空間的ベースに
進むので、円筒形がシンボリックに扱われるのです。
ガラス工場の溶鉱炉しかり。

新宿西口の円筒形は、地下街に必要な換気塔なのだそうです。
その中を除くと、あの日のジャカルタの光景が甦ります。

という具合に、物語の進行とともに、とりとめのなかった
主人公ふたりの人生が重なり合い、戦時下のインドネシアでの
事件が浮かび上がります。次回は、もっとインドネシアが具体化します。

『盲導犬』『ベンガルの虎』と同時期に描かれた、
唐さんの「東南アジアもの」として『ガラスの少尉』が調子を上げていきます。

次回は7/12(日)19:30から。

7/4(土)5(日)11(土)と、今年のお正月から行ってきた
『下谷万年町物語』の対面リーディングWSに注力します。
こちらは最終幕である第三幕に取り組んで、全体のエンディングを目指します。