9月19日『君の罠』第1回 これまでのこと

2015年9月19日 Posted in 26_君の罠
中野です。
『青頭巾』横浜公演が終わって数日間、正直に言って、虚脱感と片付けの多さにくたびれきっていました。

次の公演に向かうための実務や大学の仕事、家の掃除も含め、やらなければならないことは山ほどある。
なにより、望月さんが懸命に新作を捻り出してきてくれているので、それに応えねばならない。

が、だるい、眠い、頭も痛い。
さらに、あの雨の多さ。
豪雨の被害のニュースが、さらに気分を暗くさせ......。

12日(土)に始まる稽古に向けて、早起きしては台本にしがみつきますが、顔を上げれば、生乾きの洗濯物が部屋の中にぶら下がっている姿に萎えつづける日々。
それが、9月7日(月)〜11日(金)でした。
......。


ところが。
人間とは不思議なもので。
一週間の稽古を経た9月18日(金)現在、すでに爽快です!
額に汗して本読みしながら、 オレたちって、つくづく劇作るのが好きなんだなあ。
そんな感じ。


そこで、次回公演に向けての日記を書き始めることにしました。
毎日というわけにはいきませんが、3日間も稽古すれば明確な進展があるので、これからは週2回の更新をお約束しましょう。
この公演が結実するまでのプロセスを、ぜひ愉しんでください。

改めて、


『君の罠』第1回 これまでのこと

初回として、今回の公演に至った経緯を書いてみます。

そもそものはじまりは、去年、望月さんから受けた提案でした。
一度、新作を一緒につくってみないか?


もともと、望月さんには唐組の紅テントで出会いました。
新宿の近くに生まれ育ち、中学のころから状況劇場を観ていたという早熟の望月さん。
唐さんとは前からの付き合いで、望月監督の映像に唐さんが出演されたこともあったそうです。

自分が望月さんと初めてお話ししたのは2006年の終わりか、2007年初めごろ。
あれは東中野。
唐さんがシナリオを書いて主演し、新宿梁山泊の金さんが監督した映画『ガラスの使徒』の試写会の帰り道でした。
金さんは金さんで良かったけれど、自分だったらタランティーノみたいに、もっとカルトムービーっぽく唐さんの世界を撮るなあ、と言っていた望月さん。
あ、それ観てみたい、と直感しました。

それで、当時唐ゼミがやっていた『鐡假面』公演にお誘いして、それが交流のはじまり。
以来、望月さんはずっと唐ゼミに熱い視線を向けてくれています。

横浜国大で映画の講座をお願いしたのもこの時期。
「望月六郎の熱血映画塾」と題したワークショップは現在も続いています。

2005年過ぎに、学生時代からの夢だったという劇団「ドガドガプラス」の活動にも乗り出していた望月さんは、時に唐ゼミの稽古や本番に来てはアドバイスをくれ、前に劇団員だった安達くんも、望月さんの舞台で主演の一人をやらせてもらいました。
お返しに、望月さんの映画のエキストラを私たちで務めたこともありますし、最近はドガドガの美術を、唐ゼミで担当させてもらっています。

そういった経緯を経ての、去年の夏、共同制作の打診でした。

その頃は、『木馬の鼻』のトラック公演ツアーを行っている時期。
公演自体はたのしく、ノっていましたが、個人的には諸事情あって、これからに強い不安を感じたり、劇団に新たな展開を渇望している時期でもありました。
だから望月さんの提案がうれしく、ありがたかった。
即座にOKしました。

望月さんの閃きで、タイトルもすぐに決まりました。
昭和の名作ドラマ『君の名は』をもじって、『きみのわな』でどうかな?
『君のわな』『きみの罠』『君の罠』......まあ、表記は今度考えよう。

「君」といえば、「あなた」だったり、「恋人」だったり、時に日本人にとっては「天皇」だったりする。
その「罠」とはなんなのか?

イマジネーションを呼ぶ良いタイトルだと思って、「きみのわな」「きみのわな」と何度も言ってみました。
それからは、定期的に構想を話し合ったり、インスピレーションが湧いた望月さんと長電話して盛り上がったり。

そうして、現在への稽古の日々へと繋がっています。
現在は第1幕を本読みしていますが、早くも劇の世界が自分たちのなかに切実に染み渡ってきた。

それが、冒頭に書いたここ数日の元気回復の原因です。
今日は稽古が休みなのですが、先程から望月さんの予想とは違う、それでいて面白いキャスティングを思いついて、ますます燃えてきました。
ああ、体が熱いぜ!

次に書く時は、先週末から始まった稽古の立ち上がりの様子を、レポートすることにします。




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