8月21日(金) 東北巡業16日目

2015年8月22日 Posted in 25_特別野外公演_青頭巾 Posted in 公演記録
中野です。
忙しかった石巻〜仙台の移動、仕込み日が終わり、落ち着いた朝を迎えました。

8月21日(金)は仙台公演リハーサルの日。

朝5時。
公演会場である西公園は、夜間の道路工事が終わったと思えば、早朝からジョギングや犬の散歩で多くの人々がやってくる。
さらに、パンパンという響きがテンポの良いリズム。
見れば、格闘技に熱中する青年二人がスパーリングに打ち込んでいる。

こちらは日記を書き、いくつかメールの返信をして、早朝を過ごす。
仙台市内は銭湯が少なく、しかも22時閉店であるために、昨晩は風呂に入りそびれてしまった。
タオルを水道で濡らして、体を拭く。
将来の自分が例え一時とはいえこんな風に生活できるなんて、高校生のころは思いもしなかった。
ああ、自由だなあ。

8時になると鷲見が起きてきたので、彼と一緒に公園内をランニング。
あくまで番をしているのだから、常に楽屋テントや劇場が視界に入る位置を走る。
鷲見はこの旅中に93kgまで絞れたと嬉しそうだ。
その後も読書したりしてゆるゆる過ごし、集合時間を待つ。

10時半。

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皆がやってくる、昨日は初めての仙台宿舎で、これが工場街にあるのでお店も少なく、食事に苦労したそうだ。
対策を練り、今日からは大丈夫だろう。 体操して、劇場を展開。 昨日やりそびれた細かい作業を12時半までかけて詰め、そこからは自主稽古。
学生たちも、前座パフォーマンスの稽古に熱中する。

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自分は、チラシを置いてもらったギャラリーや古本屋に挨拶に行った。
仙台の街はコンパクトで回りやすい。
さらに、現場に帰ってきて、自分だけ挨拶がてら公演場所近くにある源吾茶屋で昼食をとった。

14時。
皆がお弁当を食べ始める。
食べ終わって再び稽古。

ここで面白いことが起こった。 昨晩、何人かのキャストの登場方法に、ほふく前進を提案していたのだが、彼らの練習中、ワダ・タワーのズボンが犬だか猫だかのウンコまみれになったのだ。
ワダから漂う猛烈な臭い。 
『青頭巾』の劇中には、唐さんの幼児性が炸裂してウンコを取り沙汰する場面がある。
劇中の話題は小学校の時の検便に及んで、それが劇クライマックスの美しい科白やシーンに結実するのが唐さん一流の劇世界だ。
中でもとりわけ面白いのは、ヒロインがウンコの付いた小道具を持って皆を追い回すところで、今日のワダは、それを地でいっていた。
自分だけ不運に襲われた腹いせに、皆を追い掛け回すワダ。
皆、逃げまどっている。

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これに比べると、我々がこれまでやっていた演技は必死さに欠けるなあ。
そういうわけで、今日のゲネプロからこのシーンは良くなるだろう。
やっぱり、基本はリアリズム。

銭湯が開く時間なので、自分は昨日の汗を流しに行って、皆の洗濯係もする。
ワダのウンコズボンは、一本で洗濯乾燥機を独占する超VIP待遇。
フローラルな香りを売りにした柔軟剤も大量にブチ込む。

15時過ぎ。
本格的に雨が降り始める。
洗濯物抱えて現場に帰ってきたが、皆カッパ着て練習している。 

16時。
さらに雨足が強まったので、皆を楽屋待機をさせる。
リハーサルは大事だが、お客さんのいないところで風邪をひかせたくない。

17時。
少し雨足が弱まったので、エイヤッと雨宿り用のテントを建てて客席に屋根をつけた。
舞台に出ていない者はここで出番を待てばいい。

17時半過ぎに前座パフォーマンスのリハーサルを開始。
なぜか皆、いつもより動きが良いので、楽しんで見た。
本番ともなれば、もう落ち着いて鑑賞する余裕もないだろうから。

現地制作について色々と手伝ってくれた南川さんが仕事を終えて駆けつけてくれた。
ともにいるだけで心強い、優しさと芝居好きが全身から溢れているような人だ。

18時。
1幕スタート。
公園の2辺が主要道路に接しているために車通りがかなりうるさいが、科白は通る。
地面のコンクリートの反響と雨の湿気が助けになっている。
それになんといっても、方々で公演してきた経験から、野外での場の鳴らし方を、皆が自然に体得しているのを感じる。
一方、室井教授が客席をウロウロし始めた。
舞台下手の道路を、ライトを点けた車が行き来するのが気になるらしい。
これはできる限り、手持ちの車両でふさぐことにする。

1幕が終わったところでドカ雨。
これ以上やったら逆効果と判断し、2幕を割愛する。
ただし、仕掛けものは一通り当たった。
エンディングからカーテンコールの流れも確認し、19時半前には片付けに入る。

今日は皆で西公園の近くにある駒の湯に行って、それから帰りしなに食事をして、宿舎で休ませることにする。
20時半過ぎの時点で、楽屋テントでひとり。

本番2日間の天気予報は五分五分。
なんとか誰にも風邪をひかせずに、週明けまで乗り切れればいいのだが。


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