9月4日(金) 臨港パーク4日目
2015年9月 5日 Posted in 25_特別野外公演_青頭巾
中野です。
本番の日の朝を迎えました。
現地を番していた重村によると、気になったのは雨くらいで、風も蚊も問題なかったそうです。
予報によれば今日と明日は晴れ、日曜日からはまたずっと雨が降り続くとあるので、結果的に幸運なチョイスであったといえるでしょう。
普通ならば土曜と日曜日に公演するところを、今回は前後のつががりがあって、金土の本番としました。
金曜日に18時開演はちょっと早いのですが、予約のお客さんもまずまず、ありがたいことです。
午前中はいつものノート作りや散歩、買い物、家の掃除などをして、みなとみらいに向かいました。
都内で公演するのと違い、現場が家から近い!
さあ、本番、本番。
9月4日(金)横浜凱旋公演 本番1日目
現場に着くと、強い日差しのせいで顔をしかめながら、すでに先に到着したメンバーが色々なものを干している。
雨ガッパや養生用のシート、洗濯後の衣装なんか、こんな天気だとすぐに乾く。
一方、すぐそばの岸壁に打ちつける波はきわめて豪快。
まさに、天気晴朗にして波高し。
11時集合。
体操を済ませ、今日の予約数を確認する。
皆のなかには、親や親しい友人がくるという人もいる。
知り合いが見にきてくれて、横浜に帰ってきたのだという実感する。
12時45分から稽古。
昨日のゲネプロを受けて手直しするところがいっぱいあったので、かなり根を詰めた。
繰り返し、繰り返し。
動いて、動いて、運動量を増やす。
臨港パークの広さを使い切れますように。
14時45分。
稽古の途中に抜けた齋藤が、トラックでお弁当を届けてくれた。
こうして皆で車座になって食事をするのも、あと数日。
15時半から、さらにボルテージは上がる。
客席をつくり、皆は16時から本格的に着替えとメイクへ。
そうそう、今日特に神経を使ったこと。
隣のヘリポートから、ひっきりなしヘリコプターに飛び立っている。
至近距離なのですごい爆音だ。
朝のうちにワダと八重柏の長身コンビが挨拶に行き、野外劇場の上空を避けて飛んでくれることになった。
けれども、すごい音であることに違いはない。
ナイトクルージングと聞いていたが、昼間からすごい量のフライトだ。
どうもバスツアーとセットにしたクルージングサービスを今日は特別に行っているとのこと。
恐れをなしてもう一度ワダ・八重柏コンビが問い合わせに行ったら、夕方でツアーのサービスを終わり、あとは19時半から3便、メインのクルージングがあるという。
というわけで、前座パフォーマンスは17時半に始めることにした。
うまくスイスイ進んでいけば、19時半までに劇本編を終えられるかもしれない。
幸い、平日だというのにけっこう早い時間から、お客さんは集まってくれた。
17時半過ぎ。
前座パフォーマンスをスタート。
ライオネルが司会につまったり、勅使河原がラップの紹介を間違えそうになるのもご愛嬌。
客席は温かい。
おもしろかったのは、学生たちのパフォーマンス中、次から次へと個性的なお客さんたちが橋を越えて受付にやってきたことだ。
出色は大久保鷹と山崎春美の登場。
2人はたまたま合流して、遥か遠くから、あの独特のオーラを撒き散らしながらやってきた。
ところで肝心のパフォーマンスだが、最近の吉村は本当におもしろい。
彼女の顔を見ているだけでこちらの表情がほころんでしまう。
高校時代ずっと野球部のマネージャーだったいう彼女は、どちらかというと他人のお世話より、自分がもっと前に出て行くのが向いていると思う。
ちょっとしたスターだ。
2年生で唯一参加の米澤は特に身体能力に優れ、松下は天然そうに見えてなかなか野心家だ。
パーカションで屋台骨を支える2人、黒田は椎野の甥っ子に似ており、齋藤は高校時代の軽音部でしごきあげられたために、すでにプロの顔をしている。
旅の途中、虫さされで泣いていた高畑は、もともとすごく小さかった声が、小さな声くらいには昇格した。
あと、ずっと無表情だったのに、最近は少し笑うようにもなった。
小島は普段から体力と根性の無さを周囲にアピールして止まないが、本番直前になると俄かに追い込み出すギャップがおもしろい。
こういうときだけはデキる女の顔をしているのを見れば、なかなかどうして、誇り高い人だなと思う。
ライオネルと勅使河原は、これまでもしばしば触れてきたので割愛。
ただ、この男女のリーダーを得たことが、この集団の幸運だ。
劇団連中もずいぶん助けてもらった。
このメンバーが揃うのも、今日を入れてあと2回きりだ。
18時少し過ぎ。
本編突入。
始まりからにぎにぎしい雰囲気に包まれて、皆が張り切っているのがわかる。
よく笑ってくれている。
劇場より、テントより、こういう反応を引き出すのは野外に限る。
オープンエアーだと、なぜか人は開放的になるのだ。
中盤まで進んだところでトラブル。
音響席にいた自分からは見えなかったが、他の者たちの伝によれば、出番前に気合が入りすぎ、思わず海に入って出番を待っていた鷲見が、警備員さんに不審者と間違われてしまったのだ。
そりゃ、海に入るのはこちらが悪い。
番が終わってからも、よくお詫びをした。
19時前、休憩中の雰囲気もすこぶる良かった。
2幕が始まり、半ばにさしかかったころ、プロペラ音が。
時計を見れば19時20分。
あーあ、もう始まっちゃったか。
と思いつつ、役者がそれに対応してくれることを願う。
果たして、ヘリの影響、そんなに大したことはなかったと思う。
ただし、ヘリの音が特に大きくなったところに限り、これ見よがしに花道に進んで笑いながらお客さんに近接し、ゆっくり大きく、それこそ耳の遠いお年寄りに話すような科白の言い方をするくらいの強かさがあってよいように思う。
どんな環境も、パフォーマーの裁量ひとつで劇場の仕掛けに変えてしまう。
それが野外の真骨頂なのだから。
結局、トイレ休憩が延びたり、本編も熱が入ったりで終演したのは19時40分すぎ。
そのあと、すっかり興奮気味の鷹さんに乾杯をしてもらって、皆で楽しく話した。
たくさん差し入れもしてもらって、皆でガツガツとご馳走になった。
劇団のお客さんも、演劇界のみなさんも、去年トラック演劇に参加した学生たちも、みんな笑顔だった。
この景色のもとにいると、皆が幸福になるのだ。
東京ではゲリラ豪雨や竜巻まであったらしいけれど、私たちは横浜にいて心から良かった。
明日、いよいよ最後の夜。
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