8月23日(日) 東北巡業18日目
2015年8月24日 Posted in 25_特別野外公演_青頭巾
中野です。
仙台公演2日目の朝は、雨音で起こされました。
昨晩、終演後から降り続いた霧雨は、ここにきて強さを増したようです。
これを最後のひと頑張りにして、あとはカラッとあがってくれればありがたい。
公衆トイレに行ってみれば、壁や床や洗面台に、羽虫の死骸、死骸、死骸。
ものすごい数の羽虫が雨を逃れてやってきて、力尽きたようでした。
ここ仙台にきて気づいたのですが、8月だということもあり、旅をする若者を多く見かけます。
コインランドリーや銭湯、道でもよくすれ違う。
西公園は東北自動車道の乗り口に近いので、道路端で「青森」「東京」などと書かれた段ボールを掲げて親指を立てるヒッチハイカーを多い。
目を凝らしてみると、今日も西公園の芝生の真ん中に、野宿している自転車の旅人がいる。
ほんの小さな、たたみ一畳にも満たない天井を植え込みに釣り渡して一夜を明かしたようです。
自分と鷲見など、恵まれたもの。
さて、8月23日(日)仙台公演2日目。
この東北ツアーも、今日を入れて残すところあと3日。
今日はまず、昨日叶わなかった衣裳の洗濯に行く。
ランドリーの開店7時に5分遅れただけなのに、結構な利用率。
雨天が続いているのと、さっき書いた旅行者たちのニーズで、数の少ない乾燥機は奪い合い。
もっとも、5台中3台を独占せざるを得ないこちらが、1番タチが悪いのだけれど。
洗濯機と乾燥機を回すとつなぎも含めて90分近くかかるので、早朝の一番町をウロウロする。
ここはファサードが付いているので、雨の日の散歩やランニングに使われている。
日曜の朝は人もまばらで、店は閉まって閑散としていた。
9時に現場に戻り、しばらく鷲見と話をして過ごす。
11時。
トラックに乗って齋藤、西野、入山がやってきた。
衣裳のケアや、先乗りして作業をするためだ。
齋藤によれば、昨晩中村くんは早朝のアルバイトを控えているにも関わらず、26時まで付き合ってくれそうだ。
熱い男だ。
12時。
全員が揃う。
体操をして、少し修正点を伝え、劇場の仕込み作業に入る。
その間、自分は室井教授と源吾茶屋で食事。
味噌ラーメンとずんだもちを食べて戻ってみれば、皆が湧いている。
来客と思ったら、あ、新崎人生だ!
新崎さんは昨日の公演を観に来てくれていたのだ。
昨晩、なんの前触れもなく現れて、プロレス大ファンのワダは開演前に狂喜した。
中村くんに聞けば、ここ東北では、新崎さんはよく劇を観に来られるのでも有名だそうだ。
しかし、わたしたちの公演に脚を運んでくれるなんて。
ところが終演後、舞い上がり過ぎていたワダはうかつにも声をかけそびれ、新崎さんがすぐに去るのを許してしまったのである。
いまから考えれば、慎み深い新崎さんの行動。
晩、ワダは悔いた。
そして今日早朝にしらみつぶしにネットサーフィンした結果、新崎さんのフェイスブックを探し出してメッセージを送ったのだ。
果たして、新崎さんはわざわざ表敬訪問してくださった。
しかも差し入れまで持って。
「おもしろかったですよ」という声も優しい。
皆、お祭り騒ぎになって、記念撮影したり、Tシャツにサインをもらうワダを囃し立てたり、「凄い体だ!」とヒソヒソ言い合ったり。
ちゃっかり室井教授も、「ぼく観てましたよ」「こうロープを渡るのが凄いんだよ」とアピールしている。
実に童心に帰った時間が流れた。
お見送りして、虚脱状態のワダ。
東北に来てよかった、などとひとりごちている。
本番は大丈夫か!?
気を取り直して13時半。
残りわずかのチラシを持って、皆は宣伝と食事に繰り出す。
自分は、発電機の軽油を補充しにガソリンスタンドに行ったり、今度は皆の私服の洗濯に向かう。
同じ場所で公演2日目ともなれば、ここからの展開は速い。
15時、再集合して自主稽古。
16時、洗濯を終えて自分も合流し、バイト後に仮眠をとった中村くんも元気そうにやってきた。
16時半、劇中歌の最終チェック。
17時近く、 いよいよ東北最後のステージが近づく。
降水確率20%、このままいってくれるだろうと確信する。
勢いとはそういうもの。
メンバーのスタンバイも早い。
昨日よりさらにお客さんの出足がゆっくりなので、前座の開始を遅らせることにする。
昨晩は雨を恐れて早目にスタートしたが、今日は恐るるに足らず。
ならば、なるべく多くの人に見てもらいたい。
集まってきたお客さんの様子を観察してみると、演劇や唐さんを知悉している雰囲気がする。
中村くんや南川さんが駆け回ってくれたおかげで、仙台演劇界の古参や新人さんが、注目してくれているのだ。
昨日観てくれた人が何人もリピーターになってくれた。
最大の評価。
お世話になった、ギャラリー・ターンアラウンドの関本さんも、今日も駆けつけてくれた。
ようし、とりあえず今日で一区切りなのだから、思う存分駆け回り、科白を浴びせようではないか。
17時40分。
ライオネル田中を紹介し、暖かな雰囲気の中で前座開始。
昨日はシャイな都市型お客さんとの探り合いだったが、今日はたくさんのリピーターが雰囲気を引っ張ってくれている。
反応に乗せられて、良い流れが生まれていく。
当日駆け込みでお客さんが増えるのを確認し、前座中に手の空く唐ゼミ勢で客席増強。
学生たちが持ち時間を終えると、ワッと野外劇場に観客が押し寄せる。
トイレを勧め、うちわを配り、虫除けスプレーを提案し、さらに一応レインポンチョを渡す。
ここまで回数を重ねると田中も慣れたもの。
18時10分、東北ラストステージの開幕。
あとを考えなくても良いのだから、皆のびのびとやっている。
観客の反応もさらに大きい。
それに応える役者たち。
唐さんの軽妙さ、美しさが伝わっているのを感じる。
途中、配ったカッパを着はじめたお客さんがいたので雨かと思ったが、なんのことはない、肌寒かっただけなのだ。
東北の暑さは短い。
8月のだというのにお盆を過ぎれば、いまが夏のおわり。
休憩時間も「今日も来てしまいました」と何人かに声をかけられつつ、2幕に突入。
イベント盛りだくさんの後半は流れるように進行し、あっという間にクライマックスへ。
来週末、横浜での上演はどう工夫しようか、などという考えも少し頭を巡る。
カーテンコールを終えて、全員を飲み会に誘った。
客席を改造していくつかの輪をつくり、思い思いに座ってもらう。
最後の夜は、仙台の功労者、中村くんと南川さんに乾杯してもらった。
出会って数ヶ月の彼らが、会場を押さえ、宿舎を手配し、宣伝に走ってくれたから出来た公演だ。
それぞれの輪に入って、劇団員も学生たちも打ち解けて話している。
自分も、仙台の演劇界を支えている皆さんと交流。
21時過ぎ、恒例となった椎野のワンマンショーでお開きにした。
名残惜しくお客さんを見送って、皆でダアとなる。
ちょっと落ち着いたところで、片付けへ。
トラックへの積み込みを終えたら、明日は午後から自由行動だ。
だから、今晩の片付けに対する一同の士気は高い。
これまで散々やってきたから、スピードも速い。
その間、自分と鷲見は風呂へ。
いつもの「駒の湯」が休みなので、少し離れた極楽湯にトラックで行った。
まるで『千と千尋の神隠し』のような一大レジャー施設に驚きつつ、奮発して、ドクターフィッシュも初体験した。
魚たちが食べているという感覚が足から伝わってくる。
帰りの車の中、オレたちの合宿ももうおしまいだな、と二人で感慨にふける。
ともに現場に泊まり、朝になれば一緒に体を動かしてきたのだ。
それにしても、仙台には東京タワーの小さい版みたいなものがいくつもある。
道すがら数えただけで4つ。
あれは何なのだろう?
23時過ぎに現場に戻ると、今日の片付けを終えるところだった。
解散してそれぞれの楽屋に倒れこむのも、もう何度目だろう。
明朝の作業は9時開始。
明日の午後、自分と鷲見と学生の小島は、一足先に帰ることになる。
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