1/10(祝月)ワークショップレポート〜『吸血姫』三幕前半
2022年1月10日 Posted in ワークショップ Posted in 唐十郎戯曲を読む『吸血姫』
昨日のワークショップレポートです。
1/17(日)の最終回を睨んで逆算し、昨晩は三幕前半をやりました。
一口に唐さんの三幕ものと言っても長短二種類あり、
長い演目『唐版 風の又三郎』『夜叉綺想』『下町ホフマン』など
短い演目『吸血姫』『ジャガーの眼』『さすらいのジェニー』など
といった感じでとらえると分かりやすい。
長いものは往々にして一幕と三幕が長く、
これは登場人物や物語の前段の説明に膨大な時間がかかりつつ、
クライマックス目指して終盤がうねうねしている感じです。
休憩2回を入れて3時間〜3時間半の上演時間。
一方で短い演目になると、むしろ二幕ものより観やすい。
というのも、各幕が40〜50分とコンパクトに設定されており、
リズムが良い。序破急の三部構成がクッキリして、展開がわかりやすい。
『吸血姫』は後者にあたり、三幕はとにかくテンポ良く運びます。
まずは二幕の後段、肥後が起こした看護婦長殺しの末路として、
各キャラクターのその後、没落の様子が描かれます。
まずは、九州に叩き売られていく高石かつえが名古屋で花形の
手を逃れ、憧れの国際劇場の舞台や耕三の愛情を夢見ながら自死していく。
次に、歌謡界の鬼を名乗っていた花形を相手にするものは
いまや徘徊途中の老人しかおらず、その爺さんとの絡みにおいても
かつての精彩を欠いている。
さらに、引っ越し看護婦として多くの人たちを癒やそうとしていた
海之さと子は、ショーケースに入れられ路上で体を売り、
イケイケの若院長だった耕三は、詐欺まがいの女衒に身を落とし、
運悪くかつて女房を寝とった床屋の主人とも再会。
少額を巻き上げるのに躍起になっています。
とにかく零落が際立ち、皆にかつての輝きはありません。
そこへきて本格的に三幕がスタートすると、
愛染病院が誇る献血自動車は移動式のバー「お世話」に改造され、
へりくだる中年男がバーテンのその店で、花形・耕三がくだを巻きます。
人間うまくいっていない時には実に瑣末なことで諍うもので、
ずいぶん前に貸した雑誌云々、という話題で延々ケンカが続く。
ヒロイン・さと子は、酔い潰れているのか、
商売が続いて体がキツいのか、カウンターの隅の方に突っ伏している。
と、そこへ、人力車を引いた肥後がやってきます。
あれから三年、歌手への夢を諦め今ではタクシー会社に勤務する肥後。
彼は「さと子」というお客から迎車の注文がくると
これを買ってでて、自動車でなく人力車で出動するという営みを
続けてきたらしいのです。(実際にいたらとんでもなく迷惑!)
努力が実り、ついに目当てのさと子と再会成り、説得を試みる肥後ですが、
彼の青臭さが気に入らないさと子は最初、一蹴します。
しかし、熱心な肥後の誘いかけにより
人力車に乗って引っ越し看護婦を、皆さんへのお世話を目指した
あの日が甦り、束の間、どこかへ行ってやり直そうという気分が生まれる。
が、元愛染病院の男たちにとってさと子はいまや飯のタネ。
耕三や中年男が立ち塞がり、さと子を逃さない。
・・・という具合で、
『吸血姫』クライマックスの助走を完了して昨晩は時間いっぱい。
肥後は今度こそ、さと子を苦界から救い出せるのか?
さと子が何度も口にする「もうすぐあたしが迎えにくる・・」とは?
1/17(日)最終回、怒涛のエンディングが待っています!
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